2021年12月10日

西部ゴム商組
「ホース商工懇談会」開催

ホース流通動態調査の結果発表

西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)は11月22日、メーカーと商業者が情報交換を行い、意見などを取り交わす「ホース商工懇談会」を大阪市北区の中央電気倶楽部で開催した。メーカー側を代表して9社13人、商業者サイドからは岡理事長、小島孝彦事業委員長のほか、ホース部会の加藤廣部会長をはじめとするホース部会委員8人が出席。ホースの生産状況・市況などといった最近の取り巻く事業環境についての報告がメーカーによって行われたほか、商業者からの質疑応答などを通じて活発な意見交換が行われた。

岡理事長のあいさつに続き、組合では、今年10月に実施した「第25回ホース流通動態調査」の集計結果を公開。組合員41社の回答を基に商業者が置かれた事業環境について、つまびらかに示した。最近6カ月間(本年4―9月)における売り上げについては、「横ばい」が編上34%、その他40%が主流。続いて「やや落ちている」が編上29%、その他20%、「ほぼ順調」が編上17%、その他20%と続き、各社の置かれた状況によって前年同期並みの水準を上下している実態を示した。高圧ホース、樹脂ホースも同様の状態で推移している。価格競争についてはゴムホースで「まあまあの状態」が編上37%、その他43%で最多、続いて「あまり問題ない」が編上37%、その他30%、「やや乱れている」が編上、その他ともに20%の割合で続いており、比較的落ち着いている。高圧ホース、樹脂ホースも同様の流れにあり、全体的に問題はなさそうだ。

今後の売り上げ予測についてもゴムホース、高圧ホース、樹脂ホースの全種類項目において「今後は横ばい」が多くの割合を占めており、「年率5%程度伸長する」も高い割合を占めていることから、売り上げ的に安定水準が続くものと見ている状況がうかがえる。しかしながら、最近のホースの販売価格、仕入れ価格については、厳しい状況が顕在化。「仕入れ価格については各メーカーによって値上げが打ち出されている」「各ホースメーカーから値上げの案内が寄せられている」「鉄材価格の高騰が要因となって金具の価格が上昇している」「ホースに限らず全般的な値上げが業務に支障をもたらしている」「昨今の仕入れ価格上昇において、客先への転嫁時期およびその水準についての検討に迫られている」「今後の値上げに大手ユーザーが難色を示している」といった直接的な価格の高騰を背景とした問題のほか「高圧ホースの納期に時間がかかっている。3カ月以上納品されない」などといった深刻な問題に商業者は頭を抱えている。

こうした状況に持っていかざるを得なくなった背景として、あらゆる原材料の天井知らずの高騰があり、メーカー側では2015~21年までの原油・ナフサの価格推移を例示。原油価格は最安値で㌔㍑当たり2万1943円(20年第2四半期)であったものが、直近の21年第2四半期においては4万6036円という倍以上の価格にまで高騰。ナフサについても、国産が最安値で㌔㍑当たり2万5000円(20年第2四半期)であったものが、翌年同時期である21年第2四半期においては4万7700円の価格を付けている。輸入ナフサ価格も国内ナフサと同様の価格変動を示しており、わずか1年間での急激な価格上昇が、原材料の急激な高騰という状況を招いてメーカーを直撃。あまりの急激さもあって自社努力も追い付かず、値上げに踏み切らざるを得なくなった内幕を浮き彫りにした。

20年代と21年代との原材料費の価格差はコロナ禍によってもたらされた現象であり、世界規模で急激に落ち込んだ経済が、ワクチンなどの接種率の高まりなどによりコロナ禍を克服して急激に回復。日本ゴムホース工業会がまとめた経済産業省の統計によるゴムホースの生産量についても、本年1ー9月の累計では、高圧用で前年同期比28・0%増の3394㌧、自動車用で同17・6%増の1万6974㌧となり、2ケタの増加。高圧用はこの状況でも需給がひっ迫していると言われ、自動車用は半導体不足による生産調整といったつまずきはあったが、回復基調の勢いは継続すると予測されており、部品等といった関連会社の予想を超えた繁忙ぶりも情報として伝わってきている。

日本ゴムホース工業会では、令和3年におけるゴムホースの年間生産量として前年比11・6%増の3万2340㌧(新ゴム消費量)と予測、出荷金額についても同10・6%増の1381億円と見込んでいるが「ゴムホース業界においては、実態経済の動向を見据えながら需要動向へ機敏に対応し、継続的な変革に挑戦し続ける企業経営が求められる」としている。