新春トップインタビュー
中部工業用ゴム製品卸商業組合
教育事業など再開
組合の運営一段と盛り上げ
【昨年を振り返って】
中部地区の主力である自動車関連においては、一昨年との比較では回復傾向にあったものの、半導体の供給問題をはじめ、アセアン諸国における新型コロナ感染拡大による余波でサプライチェーンが分断され、多くの自動車産業が影響を受けた。国内では東日本大震災での教訓を基に供給網の再整備が図られていたものの、今般の災禍では現地のロックダウンに伴う工場の稼働停止によって、供給元の多様化だけでは対応が難しいケースが目立った。夏場には自動車メーカー各社とも生産計画の見直しを図ったが、年末に向けては少しずつ半導体調達のめどが立ち、直近の状況としては増産体制を組むなど一時に比べるとかなり明るい兆しがうかがえる。自動車メーカーも減産分のばん回に向けてさらなる増産計画を組む見通しで、部品メーカーもそれに追随した増産体制を組んで対応に努めていくだろう。ただ、懸念されるのはやはり材料の供給不足であり、半導体をはじめとする一部材料の入手困難や、中国への依存度が高い素材については品薄による値上がりと供給の不安定さがネックになる。
一方、もう一つの柱である工作機械についても昨年、一昨年との比較ではかなり回復が進んでいる。コロナ禍以前の水準まで戻っているとまでは言えないものの、受注額は昨年の実績を上回って推移しており、決して需要環境は悪くはない。しかしながら工作機械についても自動車同様、半導体や各種の部材の供給不足が危ぐされ、需要の立ち上がりに見合った材料調達の下、順調な生産が維持されていくことを期待したい。
また、ゴム業界にあっても原材料高騰と物流コスト高止まりに起因する各種工業用ゴム製品の値上がりが顕著になっており、これは商社としても苦慮するところであるが(値上げについては)仕方のない状況なので、エンドユーザーのご理解を頂くため丁寧な説明と対応に努めている。
【組合活動について】
昨年は総会も書面による決議で実施したが、新型コロナ感染拡大の影響で一年を通してほぼ思うように活動を行うことができなかった。そのような中でも、10月に開催した中部ゴム工業会との共催による「経営者研修」では、近年注目度が高まっているSDGsに関する内容をテーマに約50名の参加を得て盛況に開催することができた。ほかには秋のゴルフ大会も開催したが、表彰式や懇親会は感染防止対策の観点から行わず、屋外でのプレイを通して交流を図ることに主眼を置いた。年末が近くなると緊急事態宣言も解除され、感染者数も減少している状況なので各支部の判断で忘年会も開いた。引き続き感染対策には留意し、例年に比べると参加者数も少なかったものの、これまで対面による情報交換ができなかったこともあって以前の活気を取り戻したようなにぎやかな懇親の場を持つことができた。
【今後の活動については】
これまで主要な取り組みとして逐次実施してきた新入社員向け、営業社員向けの研修などはぜひ再開を目指していきたい。こういった教育事業は組合としての重要な取り組みであり、本来であれば実際に会場に集って学んでもらいたいところではあるが、社会的な情勢に則ってデジタルツールを使ったオンラインによる開催にチャレンジしていく。リモートによる各種セミナー開催の取り組みは感染防止対策としての意味合いもさることながら、参加者にとっては会場に足を運ぶ手間も省け、遠方の方でも気楽に参加して頂けるメリットがある。研修の内容についても、近年ではゴム・樹脂の新たな素材もあるので、そういった新しい分野の知識を得られる講習会や図面、金型の勉強会なども取り入れていけば組合企業の事業に有意義だと思いをはせている。ほかにも他地区では盛んな〝商品説明会〟も検討を重ねながら開催したいと考えている。時代がこれだけ急激に変化しているので、その対応に役立つさまざまな情報を発信していくことも組合の大きな役割だととらえている。組合企業におかれても付加価値向上の取り組みの一環として加工やオリジナル製品との組み合わせで事業を展開している会社もあり、それぞれの得意な領域をうまくビジネスモデルとして取り入れることで弱点が克服でき、差別化につながるような取り組みも組合として橋渡ししていくことができればいいと考えている。
【今年の抱負を】
現状ではコロナの感染状況は収束傾向にあるものの、今後はコロナとの共生の中でニューノーマルに対応した組合活動の模索と実践を心掛けていく必要がある。リモートによる教育事業をはじめ、ITをうまく使った活動も取り入れながら組合の運営をさらに盛り上げていきたいと気持ちを新たにしている。
一方、親ぼく面での行事についても感染予防対策をしっかりと実施しながらできる範囲での取り組みを推進していきたい。1月21日は名古屋マリオットアソシアホテルにおいて、昨年は中止となった中部ゴム工業会との共催による新年賀詞交歓会の開催を予定している。従来より大きな会場を押さえており、着席形式で1テーブル当たりの人数を少なくして間隔を確保し、参加者の安全に配慮した。パーティーでは、これまでと同じく中部フィルハーモニー交響楽団の弦楽四重奏による演奏も用意しているので、新年らしい華やかな雰囲気の中で新しい年の始まりをともどもに祝い合いたい。