新春トップインタビュー
西部工業用ゴム製品卸商業組合
常に可能性を模索
若い人材により組織活性化
【昨年を振り返って】
ゴム業界においては、日本経済と同様に昨年もコロナ禍にさいなまれた一年であり、当組合としてもほとんどの事業活動が実施に至らなかった。実際はリモートを通じて正副理事長会、総務委員会、人材育成委員会といった組合活動を行ってきたが、リアルでの実施がかなわなかっただけに、本来の手ごたえは得られていない。組合としても、周囲の環境に任せて手をこまねいていたわけではなく、常に何らかの可能性を模索し続け、理事会についてはコロナ禍の状況に留意しながら、2回とも予定通り実際に行うことができた。組合員を対象とした組合事業としては、リモートながら工場見学も兼ねた商品説明会を2回にわたって実施することができた。この取り組みによって、リモートによる利点も見いだされ、リアルでの商品説明会は参加者によって会場が埋まるまでの開催規模であったものが、リモート開催のアナウンスを行ったところ、150人以上の参加希望者があった。技術的な問題もあって定員を絞らざるを得なかったが、100人程度の参加者による開催となった。移動というハードルが取り除かれたことで、距離が離れた地方の営業所からの参加が容易になった結果であり、今後はこの利点を生かし、コロナ禍の収束後であっても新たな手法として活用していきたい。緊急事態宣言が明けてからは密を避け、フェイスシールドを着用するなど万全な感染防止体制を取りながら、人材育成セミナーを通常通りに実施した。昨年11月にリアルで行った近畿支部会においては、出席者の協力を得ながら徹底した感染防止体制を構築した上で、毎年恒例の懇親会の開催にも踏み切った。今年こそは新年の賀詞交歓会を例年通り実施したいと考えているが、実例を持ったことで実現可能であるという自信を深めた。新年会においては、多くの企業や団体が開催中止を余儀なくされている状況にあって、努力と模索を重ねることによって実現させることができるという実証モデルの一例になればと考えている。
【今年はどのような一年になるとお考えですか】
新型コロナウイルスの感染状況も、現時点では収束に向かう様相を見せており、昨年11月辺りから回復の兆しにあったことから、社会の動きに合わせて人材育成事業やゴルフ大会、ソフトボール、ミニハイキングを例年通りに実施することができた。特に2年ぶりにリアル開催に戻すことができた近畿支部会においては、マスク越しながら組合員と実際に対面し、懇親会では元気そうな声を聞くことができたことが何よりもうれしかった。今年は感染状況を見定めながら、新年賀詞交歓会を手始めに、組合事業や活動も可能な限り通常通りの開催形式に戻し、これまで果たせなかった本来の組合の役割を取り戻す。ただしボウリング大会については、密の観点で感染防止に懸念材料が残されることから取りやめとし、今年からは大阪ゴム商業会との共催によるフットサル大会に切り替え、3月の開催に向けて準備を進めている。ゴルフのどんぐり会や次世代経営者の会における活動なども計画しており、女性キラキラセミナーも復活させる。
【組合が抱える課題については】
かねてより、組合員数の減少傾向が課題として挙がっており、引き続き取り組むべきテーマとしてとらえている。会社の廃業に加え、組合員企業が持つそれぞれの価値観に左右される一面もあることから、組合員にとって魅力ある組合事業の立案を図ることで、新規組合員の獲得を果たしていく。当組合の担当地区にとどまらず、関東や中部エリアの企業であっても、それらの営業所が当組合の地域で業務を行っている場合、営業所レベルで当組合に加盟することによって生まれるメリットもあると思う。いずれにしても、組合の魅力が加盟意欲を引き出すことから、組合員企業において世代交代が進む流れにあって、若い人材の知恵と行動力が発揮されることで組織としての活性化が図られるものと期待している。当組合の組織的な変革に向けては、大阪ゴム商業会との組織の一本化が検討されており、それによる相乗効果に期待を寄せている。大阪ゴム商業会は当組合よりも歴史が古く、商業者同士の親ぼくを主体とした事業活動を行ってきた。当組合と商業会の両方に加盟し、それぞれの本質をとらえて有効に生かしている商業者も多く、親ぼく事業自体も当組合との協賛が多くを占めていることから、組織一体化に向けての検討に入った。人材育成と親ぼくを両輪とする当組合としても、今年中に道筋をつけていきたい。
【組合の今後の展望について】
これまではコロナ禍によって、あらゆる組合事業が中止に追い込まれてきた。当組合が幹事団体を務める予定であった「全国ゴム商組連合会」の会合も中止の決断を余儀なくされ、責任を果たせないまま今年は中部工業用ゴム製品卸商業組合に団体幹事をお願いすることになり、非常に心苦しく思う。とはいえ当組合としても新型コロナウイルス感染症の感染状況に目をやりながら、可能となればいつでも各事業の実施にこぎつけられるよう、会場の手配などといった準備は手ぬかりなく進めてきた。予定通りの開催は不可能という結論に達したときも日程を変更するなど、最後まであきらめることなく実施に向けての取り組みに力を尽くしてきた。今年こそは、こういった苦労から解放され、予定通りにスケジュールをこなしていくことができるよう切望している。