西プラ製品工業協会
12日に業界年始会
会場とオンラインで開催
西日本プラスチック製品工業協会(下俊男会長)は12日、「2022年西日本プラスチック業界年始会」を大阪市中央区のシティプラザ大阪で開催した。今回は会場での開催とオンラインによる併催によって実施。恒例の通信教育講座修了式が行われたほか、年始会の閉会後には「新春特別講演会」も開催された。会場への来場者には、新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点からマスク着用などを呼びかけ、恒例の懇親会は見送られた。
年始会の開会にあたって、あいさつに立った下会長は「昨年は新型コロナウイルス感染症にさいなまされた一年だった。しかしながら東京オリンピック・パラリンピックが開催され、全力で競技に立ち向かうアスリートの姿からは勇気をもらった。われわれの業界を取り巻く環境としては、原材料の高騰や輸出入の延滞、人手不足など数多くの問題が深刻化しており、製造業にとっては看過できない状態に陥った。当協会としてもオンラインセミナーなどを実施して情報発信を行ってきたが、関連団体懇談会においてSDGsをテーマに開催したところ、非常に多くの参加希望が寄せられた。オンライン開催には、リアルでは呼び起こせなかったメリットがあり、新しい価値観が見いだされたことで、古い価値観との間でパラダイムシフトが到来している状況を実感した。カーボンニュートラル、デジタル化やDXの進行などによって、新たな改革に迫られているが、われわれにとっての重要なテーマとしては廃プラスチックの問題などがあり、業界を挙げて取り組んでいく必要がある。2022年も会員の皆さんにとって有益な情報を提供し、業界団体としての役割を果たしていけるよう力を尽くす」と、今年に向けての意気込みを伝えた。
来賓として近畿経済産業局産業部、大阪府商工労働部中小企業支援室ものづくり支援課による祝辞が述べられ、近畿経済産業局産業部の坂野聡部長は「世界では、カーボンニュートラルへの取り組みがメーカーとしての重大な責務になるなど大変換期を迎えている。日本の産業も生産効率の改善などに迫られており、SDGsへの取り組みも重要な責務となっている。自動車から家電、日用品まで幅広い領域にわたって事業を展開しているプラスチック業界には熱い視線が注がれており、大きな期待が寄せられている。関西にはさまざまなネットワークが張り巡らされていることから、それらを活用しながら期待にこたえていってほしい」と述べた。
引き続き大阪府知事、大阪市長による祝電が披露され、通信教育講座の修了式を経て年始会は幕を下ろした。
新春特別講演会は、日本科学技術ジャーナリスト会議の副会長で、元NHK解説主幹、大正大学客員教授の室山哲也氏を講師として招き、「SDGsとDXで創るポストコロナ社会」の演題で行われた。自動車の自動運転の実用化を阻む問題や、AIによる技術の進化に潜んでいる危険性などを紹介。自動運転では常識外の極限状態における判断力は人間に及ばず、AIは人間の心のひずみを理解できない。そのため、便利さを提供する一方で大きな事故の引き金にもなりうる。「人間は何万年にもわたって心を進化させてきたが、結果として不平等さが生まれて格差が生じた。SDGsを掲げて正そうとしているが、AIにとってこの心の進化の道筋を理解できるだろうか」と疑問を投げかけ、結論として完全自動化に移行するのではなく、〝人間+AI〟が最強チームであるとの見解を示し、講演を締めくくった。