TOYO TIRE
サステナビリティ経営の方針
考え方、取り組みについて発表
TOYO TIRE(清水隆史社長)は2月15日、「サステナビリティ経営の方針」についての説明を、決算発表会の席でオンラインを通じて行った。同社では昨年の中計21の発表時に、経営にサステナビリティをビルトインし、本格的に取り組んでいくことを宣言。実行に向け、まずは経営会議の傘下に、清水社長を委員長とするサステナビリティ委員会を新設した。各サステナビリティ・テーマの主管組織によって活動方針・計画についての協議・検討が行われ、昨年末の取締役会でサステナビリティ基本方針について決議。社内において全社方針発表会が行われ、サステナビリティ方針を全社員で共有し、満を持して今年2月の正式発表に至った。
同社ではサステナビリティを社会貢献という位置付けだけでなく、企業としての新たな価値創造の機会として認識。自らの成長のためにも積極的に取り組んでいく姿勢を強く打ち出した。サステナビリティ経営の内容としては、企業価値向上に直結するESG経営にサステナビリティの要素を織り込み、マテリアリティを軸にした挑戦(価値創出と課題解決)を実施。サステナビリティ推進サイクルと、企業ガバナンスの向上といった要素を踏まえた上で、成長へのロードマップも描き出している。
同社においては「企業活動上のあらゆる働きがすべて社会と将来につながっている」という自覚を強く持ち、事業を通じた社会課題の解決、社会的価値の創出により、自らの存在意義を追求していく信念がサステナビリティ推進のバックボーンとして存在。サステナビリティを事業経営に統合していく上で、あらゆるサステナビリティ・テーマを常に理念に基づいて判断し、同社にもたらされる機会・重要となるリスクに対しては、中長期的な時間軸からマテリアリティとして明確化して取り組む。社会の持続可能性が事業成長の前提条件であるという認識を強く持ちながら、全企業活動を通じてグローバルに社会課題の解決に努めることで、持続可能な社会に貢献していく姿勢の重要性を強調した。そのためには製品・サービスの価値を高め、得た利益をさらなる価値創造の源泉に投資し、価値の増幅サイクルを確立。サプライチェーンの上流・下流と連携・協働し、国内外の関連機関・団体と協調を図ることによって、サステナビリティと並走しながら対話を通じた企業価値の向上にも取り組む。
企業活動の下地にE(環境)S(社会)G(企業統治)基盤を構築。同社としては、持続可能なモビリティ社会の実現、豊かなモビリティライフの創造に寄与する取り組みに力を注ぐ目的から、社会課題の解決や公的価値の創出といった課題に挑戦し続け、それによって利益の極大化や持続的な成長を促すだけでなく、サステナビリティにも直結するビジネスモデルの展開を目指す。中長期の価値創出シナリオとしては、持続可能なモビリティ社会の実現については、拡大・多様化するEV市場に向けてSUVやピックアップ車のEV化に対応する技術開発を推進、加えて差別化したSUV・CUV商品の魅力によって環境品質の高い製品のシェア拡大を図る。豊かなモビリティライフの創造に寄与する取り組みに力を注ぐ観点では、独自のEV対応戦略によって、走りの楽しみを一段と向上させる。そのための基盤として、多様な人財が有機的に協働し、働きがいを持って成長・活躍する仕組み・個性と質と能力を極める育成システムを構築する。
創出する価値を守るためのリスクマネジメントの一つとして脱炭素への取り組みを強化。Scope1およびScope2では、中長期におけるCO2排出削減目標値として2030年に19年度比46%削減、50年にはカーボンニュートラルを目指す。各機能が連携し、エネルギー調達先とも協働しながら脱炭素化を進める。具体的には生産面ではエネルギーマネジメント、省エネルギー、工法、設備の更新、調達面ではフレキシブルなエネルギー調達、DXにおいてはデータ活用による効果的・効率的な取り組み、コーポレート/環境面では、環境投資基準、インターナルカーボンプライシング、再生可能エネルギー導入計画の観点から切り込んでいく。Scope3では、タイヤ1本当たりのCO2排出量を30年時点において19年度比20%の削減貢献を目指す。具体策としては、サプライヤーエンゲージメントの促進、原材料輸送にかかわるCO2の抑制。加えて低燃費化や軽量化の技術向上、工程整備、低燃費やEV対応商品の強化を図ることで中長期的な価値創出を実現する。リサイクルに関しては、リサイクル材料利用率の向上、輸送の効率化、リトレッドタイヤ普及への貢献によりサステナブル化を図る。
サプライチェーンのサステナビリティについては、原材料調達における環境・社会リスクに対応し、健全で強じんなサプライチェーンを構築。具体的にはサプライチェーンマネジメントの強化に向け、グローバルでのサプライヤーの一元管理、サプライチェーンの可視化、サプライチェーンの環境・社会リスク評価に基づいた責任ある原材料調達の促進に取り組む。持続可能な天然ゴム調達に向けては、GPSNR(持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム)の原則と「持続可能な天然ゴムの調達方針」に則ったサプライヤーとの協働による持続可能な天然ゴムの利用促進を図る。品質・安全性においては、バリューチェーン全体で製品の品質・安全性を向上。工程内品質の可視化によりプロセス保証体制の確立、市場末端までトレーサビリティが可能な個体管理システムの構築、ユーザー体感型の安全啓発プログラムの充実に力を注ぐ。