【ホース・チューブ・継手特集】ユーシー産業
SNS活用しキャンペーン
空調関連新製品発売
ユーシー産業の前期(2021年12月期)の売上高は前期比107%となり、利益についても微増ながら増益した。売上高は計画値をクリアするなど堅調に推移したものの、利益面においては原材料や輸送費などの大幅な上昇により、売り上げの伸びを反映し切れなかった。第1四半期において急増した空調機器用換気管の出荷量が、昨年と比べてわずかに出遅れたものの、新規ユーザー向けの出荷が立ち上がったことから、換気管の売り上げが増加。ハウジング向けダクトは、上期においては前年の実績に及ばなかったものの、後半になって予定通りの出荷量に戻したことで大きくばん回した。今期に入ってからも出荷レベルは前期並みを維持しており、1月においてはその他一般消費財向けなどでマイナス要素があったものの、それをカバーして売り上げは前年同月を上回った。2月に入ってからは、半導体不足の影響などから各家電向け商材における出荷調整があり、継続していた好調な動きがわずかに減速、3月以降のフォーキャストも当初予定より大きく後ろ倒しとなったことで、不透明感が漂い始めている。
コロナ禍によって、対面による拡販活動に制約が掛かっているが、同社ではSNSを活用し、空調施工者とのネットワークづくりに注力。昨年は〝無料サンプル配布キャンペーン〟を実施し、一定人数におけるコミュニティを形成することができた。同社では、こうした新しいコミュニケーション方法を駆使し「少しでも多くの現場情報を入手し、商品開発に生かしていきたい。製品紹介もダイレクトに実施できることから拡販にも期待している」(永𠮷昭二社長)。現在は〝スマートウォッチプレゼントキャンペーン〟を実施中で、ネットワークの拡充に力を注いでいる。空調業界における有名ユーチューバーや、インスタグラマーとの交流もスタートさせており、インフルエンサーの力も借りながらネットワークを拡大し、一層の拡販につなげる。空調業界空調施工ジャンルで一定の成果が見いだせた後、別分野においても、同社ブランド品のSNSを使った拡販につなげていく。屋内・屋外・埋設のいずれもが安定して売り上げに貢献してきたエバフリーシリーズについても、SNSを使った拡販活動を開始できるよう準備を実施。その一方で、市場のニーズにこたえ、拡販に向けたバリエーションの追加を検討している。
同社製品の最近の動きについては、空調関連新製品では断熱ドレンホースNDH型用接続パーツ(VP管異径ジョイント30Aサイズ)を4月1日に発売予定。接続パーツを充実することによってNDHの拡販も目指す。新NDHシリーズもスムーズに市場に受け入れられており、供給面において安定性が高まったことで、市場の変動にもフレキシブルに対応、機会損失を排除することができた。NDHタイプドレンアップホース(仮称)についてはEDUで確立したドレンアップ用断熱ドレンホース市場において、今期に廉価版としてNDHタイプのドレンアップホースの投入を予定している。
キッチンメーカー向け市場においては、昨年までの2年間で大きく伸ばしたことで、非常に高い市場占有率を確保。今後もユーザーに一段と安心して喜ばれるための製品の投入を計画しており、来期までには提案できるよう開発を進めている。空調機器メーカー向けについては、前期および今期とも売り上げ増に貢献している換気管関連商品の増加により、空調機器メーカー向け商材の構成比が増えた。アフターマーケット(空調機器施工市場)と機器メーカー向けを含めると売り上げ構成比の55%を超える貢献度となっており、機器メーカー向けだけでなく、自社ブランド品によるアフターマーケット市場においても確実に売り上げを増加させ、バランスの取れた売り上げ構成比の維持を目指す。こうしたバランスを保つためにも、各市場から求められる商品開発の継続は不可欠であり、確実に差別化された独自の製品によって今後とも各市場において高い占有率を維持し、安定した売り上げ確保を図る。同社では、数年前より新商品開発に向けた専任チームを発足。今期においては開発専用ラインを導入することで、各テーマに沿って開発スピードを上げていく。
原材料費の高騰が深刻化し、運送費なども上昇していることからコストが継続的に大きく膨らんでいるが、同社では自社ブランド品、OEM品ともに前期は値上げを実施しなかった。しかしながら、今期になってからも原材料などのさらなる値上げが打ち出されていることから同社としても値上げに踏み切る。自社ブランド品については4月より一斉に実施する予定で、OEM品については各社個別に交渉を開始しており、既に多くのユーザーから了承を得ている。今後の原材料価格の動向によっては、再度値上げを実施する可能性もあるが、できる限り回避する考えで、そのための努力は続けていく。