【ホース・チューブ・継手特集】クラレプラスチックス
住宅資材でパッケージ販売
空調関連地位向上へ
クラレプラスチックスの前期(2021年12月期)のホース事業の業績は、前年度と比較して売上高、営業利益ともに2ケタの伸びとなり、コロナ禍前の19年度並みの水準にまで回復した。各需要分野別では、土木に関しては21年度はほぼ回復基調をたどり、スポット物件も多かったことで販売の増加に寄与した。空調関連も堅調に推移しており、今後に向けては住宅資材としてホースと部材をパッケージとして販売し、業界での地位向上を目指す。土木・建築分野向けにおいては、耐圧性に優れた圧送ホース「ネオホーマーCF」から一層の軽量化を図った「ネオホーマーCF―L」(0・5㍋Pa用)を現在実地試験中であり、本年度中に販売を開始する予定。軽量化によって作業性が高められたことで、製鉄所の産廃処理などにおける需要が見込まれている。一般土木用の「ネオホーマーCF―N」(1・2㍋Pa用)については、昨年度から販売を開始している。
アスファルト用導水管「クラドレン」については一定の需要が確保されており、市場シェアも安定。排水促進導水パイプ「クラドリップ」についても、トンネル工事などにおいて採用が増加しており、需要を伸ばしている。
高速道路や公共施設の老朽化が問題視されており、地震などが頻発する状況にあって、防災・減災に向けた取り組みへの重要性も高まる中、同社としては土木関連における取り組みを強化するとともに、物流拠点の見直し・拡充などによって即納体制を整え、少しでも早くユーザーや現場に向けての製品の納入が行えるよう力を注いでいる。
搬送費、原材料費の高騰が続いており、ユーティリティの上昇も大きな製造コストの圧迫要因として深刻化。あらゆる業界において生産コストが損益分岐点にまで近づいており、製品の安定供給にも懸念材料として及んでいる状況から、値上げの実施が不可避の事態となっている。値上げに関して同社では、今年の1月後半~2月の初めにかけて汎用品を対象に実施。特定ユーザー向けの値上げに関しては、3月以降に実施する予定を立てている。今期は、値上げの進ちょく状況が十分に進んでいなかったことから、3月以降に効果が表れるものと予測している。
今後については、客先訪問を控えていた時期が長かったこともあり、リモートでの仕事にも慣れてきた感はあるものの、ウィズコロナの事業環境にあって、対面での営業活動も徐々に増加。時代のすう勢としては、カーボンニュートラルなどサステナブルなエネルギーの利用が一段と重視されており、住宅資材はゼロエネルギー住宅政策やCO2排出量をマイナスにする取り組みにマッチしていることから、同社が手掛けるビジネス自体が、そうした環境対応に貢献できるものとしてとらえている。海外事業については、この2年間は現地に赴くことができなかったものの、市場調査は継続。海外への渡航が認められる時期を待って、本来の展望に沿って積極的に取り組む。喫緊の課題は値上げの実施であり、同時に物流コストの削減、工場合理化などにも力を注ぐ。今期の業績見通しは、利益面は不透明感もあるものの、売り上げに関しては好調分野の拡販と新製品の投入、課題の実行によって2ケタの伸びを目指す。