2022年3月期「決算説明会」を開催
積水化成品工業
価格や数量等は伸長
子会社による特別損失計上
積水化成品工業(柏原正人社長)は4月28日、大阪市北区の同大阪本社において「決算発表会」を行った。当期の売上高は1178億2500万円、営業利益は前期比30・0%減の14億6300万円、経常利益は同28・4%減の14億100万円、当期純損失は59億1700万円となった。欧州における連結子会社のProseatグループの固定資産・のれんなどの減損損失64億700万円を特別損失として計上、投資有価証券の一部売却に伴う特別利益4億4500万円と法人税などを加・減算した結果、収益面が大きなマイナスに見舞われた。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)などを当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は、適用前に比べて123億500万円減少しているが、利益への影響は生じていない。そのため、売上高についてのみ、前期との比較率が公表されていない。
経常利益における増減要因としては、製品価格44億9000万円、売上差(数量他)で12億2000万円、固定費減で3億円、コスト削減効果で3億6000万円、為替差益で1億5000万円のプラス要因があったものの、原燃料価格の高騰による影響で56億9000万円、Proseatグループのマイナスにより13億3000万円、その他要因で5000万円の減益要因があり、前期に対して5億6000万円減益した。
事業別では、生活分野の売上高は495億3000万円、セグメント利益は前期比10・1%減の33億7600万円。売上高は、新会計基準適用前に比べて84億3200万円減少している。食品容器関連は新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド需要を始め観光関連などは依然として低迷が継続、外出自粛傾向が薄まりをみせる状況にあって内中食関連向けの需要は安定しているものの、昨年に比べると落ち着きをみせている。農産関連では、期初は堅調な出荷状況にあったが、長雨などによる天候不良の影響を受け前年並みで推移。水産関連では、依然として外食産業低迷の影響により低調な出荷となった。土木関連では、道路冠水対策や雨水処理用途で採用されている「アクアロード」や下水道工事などで採用されている「FJリング」における物件獲得が進んだ。
主力製品の発泡ポリスチレンシート「エスレンシート」の売り上げが、巣ごもり需要が一定程度継続したことで、テイクアウト容器用途の需要が堅調。一方で、スーパーなど生鮮食品容器用途などにやや落ち着きがみられ、全体としては好調であった前年同期の水準を下回った。発泡性ポリスチレンビーズ「エスレンビーズ」は、消費者の在宅時間の増加によりクッション用ビーズなどのライフグッズ用途が好調を継続、建材土木分野についても、盛土用ブロックは大型案件の受注が進んだことで好調に推移し、全体では昨年より増加した。利益面は、原材料価格が高騰する状況にあって、原価低減や固定費削減、価格転嫁に取り組んだものの前期実績に及ばなかった。
工業分野の売上高は682億9500万円、セグメント損失は17億7700万円(前期は9億5700万円の損失)となった。売上高は、新会計基準の適用前に比べて38億7200万円減少している。自動車関連では、部品梱包材用途が電動部品関連で販売が伸長したものの、自動車部材用途における半導体不足、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部品調達遅延などで、自動車メーカーにおける減産の影響を受けたことで、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体「ピオセラン」)の販売が伸び悩んだ。欧州のProseatグループでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたほか、主力商品の自動車関連部材に用いる原燃料の価格高騰、半導体不足などに端を発したサプライチェーンの混乱継続などにより、欧州自動車メーカーからの大幅な受注減少の影響を受けたことで、業績が悪化した。
家電・IT関連では、パネル搬送資材・梱包材用途においてピオセランは、年度前半は好調に推移したものの、年度後半にかけて液晶パネルの在庫調整、パネル搬送資材のリユースなどにより低調に推移。有機微粒子ポリマー「テクポリマー」は、液晶パネルなどといった光拡散用途として、在宅勤務などによるPC・モニターの需要により順調に推移した。医療・健康関連では、欧米での需要回復からランニングシューズのミッドソール用途で採用されている熱可塑性エラストマー発泡体「エラスティル」の販売が伸長、化粧品用途のテクポリマーや機能性高分子ゲル「テクノゲル(ST―gel)」)も、好調に推移した。
利益面では生産性向上や固定費削減に取り組んだものの、原材料価格の上昇、サプライチェーンの混乱の影響などによる限界利益の減少を補えず、損失となった。Proseatグループにおいては固定資産の一部を減損処理したことで、特別損失を計上した。
今期については、売上高を前期比6・1%増の1250億円、営業利益は同23・0%増の18億円、経常利益を同14・1%増の16億円、当期純利益として9億円を見込んでいる。