2022年5月30日

三ツ星ベルト
「’21中期経営計画」見直し

資本政策の抜本的な見直し図る

三ツ星ベルト(池田浩社長)は5月13日、当日発表の2022年3月期の好決算(詳報5面)等を踏まえ「’21中期経営計画」の見直しを行った。計画は21~23年度を実行期間として策定したものだが、その2年目において、すでに目標値として設定していた売上高、営業利益に1年前倒しで到達する見直し。ウィズコロナの経済状態にありながらも、コロナ禍前の営業水準を既に取り戻しており、業績の伸びの勢いも増していることから目標数値だけでなく、成長路線と確かな高収益基盤の足元固めを行うロードマップについても新たに描き直した。

同社では20日、ウェブを通じて「決算説明会」を行い、好決算の概要を説明するとともに、昨年3月に開示した中期3カ年計画である,’21中期経営計画の内容の見直しについての概要を解説。数値目標(KPI)の見直しだけでなく、販売体制強化による業績の一層の伸長、同時に株主還元の在り方も見直す。具体的には22~23年度を30年度の〝ありたい姿〟に向けた基盤強化の期間とし、営業利益目標額、資本政策の抜本的な見直しに取り組む。同時にCO2排出量削減目標のアップにもチャレンジする。変化にぶれない強い企業体質の確立を目指し、収益面ではコア事業の体質を強化し、さらなる収益性の向上を図る。持続的成長が可能となる新たな成長分野への投資によって環境配慮型製品の開発および販売体制の強化(ソリューションビジネスの展開、M&A、オープンイノベーション)により、30年度の売上高1000億円、営業利益130億円を目指している。

財務体質の強化から資本効率の向上への進化を促し、ROEを新たに設置して30年度において10%を目指す。持続可能な社会の実現につながる研究、次世代を担う高機能・高精密、高品質な製品開発、生産システムへの積極的な投資を行い、成長投資への原資を確保した上で株主還元の充実を図り、中長期的な企業価値向上を図る資本政策を採り入れる。人財戦略については〝人〟の力を最大限に発揮できる人事制度、教育制度、職場環境の充実を図り、多様性を尊重した新しい発想、変革を恐れないチャレンジ精神を大切にする〝企業風土の醸成〟を図り、変革を推進する人材の育成に力を注ぐ。ESGについては、環境に関する社会的課題への取り組みを推し進め、〝2050年カーボンニュートラル〟に向け、30年度のCO2排出量削減に向けた目標値として13年度比46%の目標を設定。グローバル基準最高ランクのESG評価を取得し、持続可能な社会の実現に貢献し、社会的・経済的価値の向上に取り組む。

見直し後の中計最終年度である23年度のKPIについては、その実行期間を30年度の〝ありたい姿〟に向けた基盤強化の期間として位置付け、新たに〝ROE〟〝政策保有株式売却額〟をKPIとして設定。その達成に向けて配当性向の目標値を再設定して引き上げる。資本効率性として見直す前は原材料高騰による収益圧迫要因を踏まえ、目標として設定していなかったROEを新たに8%と設定、政策保有株式売却額を15億円以上へと定めた(中計期間中)。株主還元においては、前期の配当性向が65%であった政策に対して22、23年度は純利益の全額に当たる100%へと高める。ROEは、株主による出資金額と社内留保金の合計である自己資本金の割合であり、これを意識することによって効率的に経営を行うことができる。ROEの数値は株主資産としての成長性も意味しており、株主にとっての利回りの意味も備えていることから、同社ではROEの数値の位置付けを高めた。ESGについては、CO2排出量削減に向けた目標値として13年度比で20%の数値から22%以上へと押し上げた。

個別の事業戦略としては自動車部品分野では、電動(EV)化への対応や補修市場への拡販によって、本来の計画で21年度比55億円増であったものを、65億円増にまで上乗せする。一般産業用分野については食へのサポート、自動化、環境、省エネ化への対応によって本来の計画では21年度比60億円であったものを70億円にまで引き上げる。搬送製品分野については食の安全、流通の効率化、環境配慮型製品への対応、海外市場への拡販、情報通信技術を利用したソリューション事業の展開によって本来の計画では21年度比5億円程度に成長率を見込んでいたものを、8億円程度にまで伸びしろを広げる。開発製品分野・新規分野については、省エネ化、クリーンエネ化への対応、情報化、電動化、自動化への対応を図る。具体的な施策としてはモビリティ、モバイル機器市場への金属ナノ粒子の拡販、太陽光発電、電源・電源装置市場への高性能回路基板の販売、高速大容量通信、モビリティ市場への高性能回路基板、半導体、電子部品業界への導電、抵抗、絶縁ペーストの拡販などにより、本来の計画では21年度比4億円程度の伸びを見通していたものを、6億円程度に拡大させる。

同社としては「大きな革新を求められることになるが、全社一丸となって取り組み〝人を想い、地球を想う〟という当社の基本理念の下、事業活動を通じて社会の発展に貢献していく」としている。