2020年3月15日

ムーンスター
2020フォール&ウィンターフットウエアコレクション

各カテゴリーから取り組み挑戦

ムーンスター(猪山渡社長兼CEO)は2月5、6日の2日間、東京都港区のニューピアホールの東京会場において「2020フォール&ウィンターフットウエアコレクション」を開催した。

今回は、商品そのものよりも、ブランド全体の展開によって派性するシューズに備わる付加価値の可能性を追求。ブランドスローガンとして「Time with pride ひたむきに、歩み続ける。」を引き続き打ち出し、145年の歴史で培われ脈々と受け継がれてきた技術力やものづくりを背景に、昨年12月からは〝使われてこそ価値あるものを作りたい〟というブランドメッセージを展開している。

新たな商品群については、各カテゴリーで積極的にさまざまな取り組みに挑戦。これまで主力ブランドの役割を担ってきたスーパースター、キャロット、スポルス、イブ、ワールドマーチといったブランドに関しては、これまでと同様に力を注ぎながらも、現代ではし好が多様化していることから、特定の商品の中でも新たな切り口の製品も取りそろえていく。

ジュニアからユースの世代ではスーパースターを主力として展開しているが、今の小学校高学年の女児はオシャレに敏感になっており、SNSをはじめ身近なソースがオシャレに対する意識・感覚を助長。そうした状況にあって、オシャレな感性を備えた子どもたちから寄せられる要望にもこたえていく。スーパースターの本来の持ち味はスポーツの部分となるが、小学校低学年くらいまでが需要者層の中心となっており、今後はその年代層を卒業した世代に好まれる靴の開発が課題。ガールズ向けでは「ニーモ」、スーパースターの上の年代に向けてはこの2月から販売開始のランニングシューズ・トレーニングシューズの「ニューロン」などがその商品に該当し、これから力を入れて育成していく。ニューロンは、スポーツを始めるきっかけとなるシューズとして、ランニングだけでなく部活動や各種トレーニングにも最適。最大の特長は〝三層構造〟によって衰えない反発弾性と衝撃吸収性を実現しており、360度のどの方向の動きにも対応できる〝トランポリンユニット〟。1層目には通常のラバーより強い復元力を持つムーンスター独自配合のラバー〝レコーブ〟を、2層目にはムーンスター最高峰の衝撃吸収・反発弾性を持つ独自配合のクッション素材〝ニューロフォーム〟を採用。この2つの特殊素材を靴内部に搭載することで〝高衝撃吸収性×高反発弾性の維持〟を実現している。さらに3層目に弾性と耐摩耗性に富んだ高弾性インジェクションEVAを採用。厚底設計ながら屈曲性も良く、マルチな動きにも対応することを目指した。

大人向けとしては、婦人靴の市況が非常に厳しいと言われている状況にあって、この2年程度をかけて育成してきた「スガタ」は、著しい伸びではないものの、着実にファンを獲得。「ムーンスターファクトリーギンザにおいてスガタを指名買いする消費者が昨秋から増えており」(同社)、そうした状況からもこの製品の展開に自信を持っている。ラインアップにおいては、婦人靴で外反母趾サポートインソール(前滑りの防止、アーチが下がらない)を搭載した「スポルス」や「イブ」、一部の「ワールドマーチ」で展開。昨年7月から一般先行発売を開始した宇土博医学博士と共同開発した外反母趾の足に配慮した「ハナオエルゴ」など、新製品を打ち出すだけではなく、企業の姿勢として、外反母趾で悩みを抱えている消費者に対して、同社では引き続き手を差し伸べられる靴を手掛けている状況を婦人靴全体でアピールしていく。婦人もののコンフォートカテゴリーでは、継続してスポルスのイメージキャラクターを三雲孝江さんに依頼。意見を取り入れながら一緒に開発に取り組んでいる。

紳士ものでは防水をテーマに掲げ、靴底から4㌢の水深で4時間の防水機能を持たせた素材メーカーの防水アイテム〝サイトス〟を採用したアイテムや、独自開発の〝シャットドライ〟といった防水機能に絞ってカテゴライズし、紳士のテーマとして訴求している。ビジネスの「バランスワークス」では、特徴的なソール・インソールの形状に工夫を凝らすことで、ぐらつきを抑え、安定性を確保。屈曲性が良く歩きやすいビジネスシューズとして高い評価を得ている。中心価格帯としては7900円~1万円強で、防水アイテムのほかにもシリーズ展開に力を入れており、今回の秋冬ではさらにハイエンドモデルとして、バランスワークス「クラシック」も登場させる。同ブランドの基本的な機能を踏襲しながらシルエットがきれいなドレッシーなテーストで、価格は2万円。子ども靴を中心にシューズ事業で進化を遂げてきた同社としては、ビジネスシューズにおいての初の挑戦として画期的な取り組みとして注目されている。

ワールドマーチにおいては、トライアル的にスポーツ寄りの展開を図ってきたが、ワールドマーチファンとして根付いているファンのし好に沿ったアイテムを原点回帰して提案。ワールドマーチのファンが2足目として購買欲をそそる、カジュアルテーストなアイテムも提案している。

子ども靴から大人向け商品まで、〝楽しい空間で履いて、楽しい時間を過ごしてもらいたい〟といった同社の打ち出す世界観をSNSなども活用し、消費者に伝えるとともに、ファッション、ランニング、外反母趾など足のトラブルで悩んでいるユーザーや消費者に対しても、靴を通して楽しい時間を提供していく。「やはり靴をつくるだけではなくお客様に使って頂いてこそ価値を生み出せる。コーポレートサイトのトップやフェイスブック、各サブブランドで展開しているインスタグラムなどでも訴求し、新たな見せ方をつくり上げていく取り組みに力を入れる」(同)。