2021年9月5日

【2021年12月期第2四半期決算】アシックス

売上高は2000億円超
すべての地域で増収

アシックス(廣田康人社長)は13日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。発表に先立ち、あいさつに立った廣田社長は「当社は東京オリンピック2020においてゴールドパートナーを務めたが、見事な盛り上がりを見せ、日本は58個のメダルを勝ち取ることができた。当社商品をまとったアスリートやボランティアの方々の活躍があってこその成果だと思う。無観客で開催されたものの、アシックスブランドのイメージは世界に届けられたものと信じている。引き続きパラリンピックもサポートし、盛り上げていきたい」と率直な思いを言葉にした。

決算概要の説明によると売上高は前年同期比42・6%増の2094億7800万円、売上総利益は同49・4%増の1054億4800万円、営業利益は239億9300万円(前年同期は38億7300万円の損失)、経常利益は247億7000万円(同59億8200万円の損失)、四半期純利益は123億5000万円(同62億6600万円の損失)と大幅な増収増益となり、売上高は4年ぶりに第2四半期累計で2000億円超を達成。営業利益は前年同期に対して黒字に転換、加えて6年ぶりに第2四半期累計で200億円を大幅に上回った。感染症拡大の影響はあったものの、パフォーマンスランニングやオニツカタイガーを中心に、すべての地域が好調で、特に主力のパフォーマンスランニングは商品評価の高さからほぼ全地域で増収。オニツカタイガーは全地域、全チャネルで増収、特に中華圏では前年同期比で50%を上回る好調ぶりだった。eコマースの売上高はすべての地域で成長を果たし、同30%を上回る成長を遂げた。

カテゴリー別では、パフォーマンスランニングの売上高は健康意識の高まりなどにより、主に日本、北米、欧州、中華圏、オセアニア地域の好調で前年同期比54・2%増の1085億9400万円、カテゴリー利益は増収影響に加え、粗利益率の改善により同165・5%増の262億3400万円となり、大幅増益を達成した。コアパフォーマンススポーツの売上高は日本、北米、欧州地域での売り上げ好調により同44・4%増の234億2800万円、カテゴリー利益も同様の理由から同400・4%増の45億3200万円となり、前年同期の実績を大きく上回った。スポーツスタイルの売上高は北米、欧州地域での売り上げ好調で同36・3%増の171億2700万円、カテゴリー利益についても同様の理由から同839・6%増の29億6700万円と大幅に伸長した。アパレル・エクィップメントの売上高は同30・5%増の167億200万円、カテゴリー利益については粗利益率の改善ならびに販売費および一般管理費の減少により、2億1900万円と黒字に転じた。オニツカタイガーの売上高は中華圏地域での好調により同34・0%増の210億700万円、カテゴリー利益は増収の影響で同98・0%増の40億6400万円となり増収増益を果たした。

地域別の売上高は、すべての地域で増収。特に米欧中オセアニアが大きな伸びを示した。課題であった日本地域の売上高についても、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツが好調であったことから、売上高は同23・0%増の577億9500万円、セグメント利益については増収の影響に加え、販売費および一般管理費の減少などにより、34億8400万円となり、黒字に転じた。北米地域についてもパフォーマンスランニングを筆頭にすべてのカテゴリーが好調であったことから、売上高は同50・6%増の427億9700万円、セグメント利益については、増収効果および粗利益率の改善などにより19億4400万円となり、黒字に転じた。欧州地域の売上高は、パフォーマンスランニングを筆頭にすべてのカテゴリーが好調であったことから同55・9%増の578億3300万円、セグメント利益は増収の影響および粗利益率の改善などにより、91億6700万円となり、前年同期比約10倍の大幅増益を達成した。中華圏地域の売上高はパフォーマンスランニングやオニツカタイガーが好調であったことにより、同51・1%増の279億9000万円、セグメント利益は増収効果に加え、ホールセールやリテール向け商品の粗利益率の改善などにより同188・1%増の61億4700万円という大幅増益となった。オセアニア地域の売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調であったことから売上高は同53・0%増の131億3500万円、セグメント利益はリテール向け商品の粗利益率の改善などにより同87・3%増の20億3500万円。東南・南アジア地域の売上高はパフォーマンスランニングが好調だったことから同26・6%増の46億3600万円、セグメント利益は粗利益率の改善などにより1億8200万円となり、黒字に転じた。その他地域の売上高はパフォーマンスランニングの好調で同31・3%増の157億4200万円、セグメント利益は増収の影響などにより6億3400万円の黒字に転じた。

当期の総括を行った廣田社長は「昨年はコロナ禍に見舞われ、厳しい情勢に置かれたが、この中間期では黒字転換を果たすなど、通常の事業環境に戻りつつある。コロナ禍による影響に脅かされつつも、健康志向は高まりを見せており、オリンピックの開催によってスポーツのムーブメントが作り上げられた。こういった流れを的確にとらえながら今後に向けても取り組んでいきたい」と今後への意欲を示した。

通期についてはこれまで不確定要素が多く、業績予想などの将来予測情報に関してはレンジ形式で公表してきたが、現状で入手可能な情報に基づいて算定が可能となったことから、連結業績予想を新たに公表した。東京オリンピック2020競技大会が無観客開催となったものの、パフォーマンスランニングやオニツカタイガーを中心に海外主要地域の売上高が引き続き好調に推移していることから、売上高については前回公表したレンジ(3850~3950億円)の上限値である3950億円、営業利益ならびに経常利益は上方修正し、営業利益は145億円(レンジ幅115~135億円)、経常利益は135億円(同100~120億円)、当期純利益はレンジの範囲内である25億円(同20~35億円)を計画している。