2021年9月25日

日精樹脂工業
技術説明会で成果披露

同社独自の成形機や技術を紹介

日精樹脂工業(依田穂積社長)は9月17日、技術説明会ならびに展示会の動向などについて、オンラインを通じて解説するウェビナーを開催した。スピーカーは依田社長、宮下浩常務取締役、碓井和男取締役技術本部長といった同社経営陣で、経営企画部の今井昭彦氏の司会の下、依田社長が説明を行ったほか、質疑応答にも対応した。

技術説明会では、業界の常識を覆す同社独自の成形機や成形技術について紹介。同社では、対処する必要が生じた課題について成形現場からの課題解決に努めており、当面の課題である〝脱炭素社会の実現に向けた市場ニーズ〟に対して環境対応素材成形機の拡販に基づいて開発した成果を今回披露した。

省スペース、ダウンサイジングをテーマに次世代戦略機としてシリーズ化された低床竪型成形機「TWX」シリーズを代表する高機能マシンとしてハイブリッド式竪型射出成形機「TWX―RⅢシリーズ」を紹介し、竪型成形機の備えた利点と業界常識を覆す機能性について説明。低さにおける使いやすさとは「ちょうど良く、心地良さの追求であり、実機では高すぎず、低すぎない快適な作業目線が理想となる。そして既存設備との違和感を感じさせない感覚を目指して設計される」(同社)。それによって労働環境の改善や作業効率アップにつながる。TWX―RⅢシリーズは、業界常識を覆す圧倒的低床によって使いやすさを追求しており、特長としては、ワイドな金型搭載スペースを備えた300㌧クラスをラインアップし、成形品の大型化・複合化にこたえる。外乱に強い〝直圧式センター型締〟により安定稼働・安定成形に対応する。工場スペースの制約・建設費用の低減といったメリットを備えているほか、ハイブリッド式ポンプシステムの採用によって省エネ、静粛性、正確な動作、応答性アップ、作動油量52%減を実現したことで、イニシャルおよびランニングコストを低減する。

省スペース、ダウンサイジングを実現させたハイブリッド式中大型射出成形機「FWX」シリーズは、一段と大きな成形品を一段と小さな機械で成形するコンセプトで開発。独自の新複合型締機構によって大きな面積の金型を載せられることにより、2クラスアップの成形品の要求に対して2クラスダウンの成形機がこたえる。成形設備のダウンサイジングにより、単位面積当たりの生産性を向上。直圧式型締機構によって低圧成形による成形品質向上を実現しており、安定成形・成形不良改善ニーズにこたえることができる。ハイブリッド・ポンプ搭載により、作動油量58%減を実現したことでイニシャルおよびランニングコストの低減ニーズにこたえた。

続けて、PLA(ポリ乳酸)射出成形技術を用いた環境対応素材成形機の拡販について解説。PLAはサステナブル社会の実現に向けた環境配慮型素材として注目されている素材ながら、材料価格の高騰、供給能力の不足(需給のひっ迫)が指摘されている。物性面では結晶化速度が遅く、非晶状態では耐熱性も低い。耐衝撃性も不足。生産面では流動性の悪さや可塑溶融時のガスの多さ、離型性の悪さなどが課題となっていた。これらの課題に対して、日精樹脂工業では射出成形技術でサポート。「業界に先駆けてPLA100%の透明&薄肉容器成形システムを開発し、実用化にこぎつけた」(同)。

成形技術のDX化に向けては、成形条件作成の自動化、保守管理のリモート化、射出成形データコンテンツ収益事業化について解説。成形条件作成の自動化、保守管理のリモート化を図るIoT技術〝NISSEI4・0〟を紹介した。日精メンテナンスアシストとして成形機制御装置の遠隔操作システムについて概要を説明。IoTゲートウェイを介して、携帯電話網で客先成形機にアクセス。遠隔地からの素早いサービスや成形サポートにより、一層の顧客満足度アップを図る。

成形条件作成の自動化、保守管理のリモート化に貢献する「可塑化診断ソフト」は、成形不良現象は、可塑の部分が原因であるという考えの下で開発されたソフトで、歩留まりの向上、不良現象の原因追求、条件出し時間の短縮、コスト削減に効果を発揮する。締めくくりとして、可塑化診断ソフトの効果事例を紹介して技術説明に関するプレゼンテーションを終えた。

引き続き、同社のイベント・スケジュールの予定について報告。昨年の「IPFジャパン2020」の対面開催中止(オンライン開催)などもあり、同社では、内覧会を強化して新型モデルの特長や導入メリット、技術発表の機会を創出する。10月6~9日にかけて「西日本プライベートフェア2021」を同社の西日本テクニカルセンターで開催するほか、12月8~10日に本社において「本社プライベート展」を開催する。海外では「Nissei Americaプライベート展」を11月16~19の期間、同社のNissei Americaテクニカルセンターで行う。ドイツで開催される「K2022」には同社のグループ企業Negri Bossiと本格的なコラボレーションで会場を沸かせる。

国内の直近では、9月29日~10月1日にかけてポートメッセなごやで幕を開ける「名古屋プラスチック工業展2021」に出展(第3展示館)。新型低床ハイブリッド式大型竪型機による自動車向け複合成形、100%植物由来PLAを用いた容器向け加飾技術を披露する。

次いで開催される西日本プライベート展では、新型低床ハイブリッド式大型竪型機による自動車向け複合成形、新型電気式成形機「NEX―V」シリーズによる難可塑樹脂の安定成形、低圧成形システムを用いた大型製品における設備のダウンサイジングの提案のほか、開発最終段階にあり、技術検証中の「FWX970Ⅲ」を発表し、2クラスアップの成形品を実現する2クラスダウンの成形機の存在をアピールする。