NOK
ベトナム工場増築棟本格稼働
1.4倍に増築、Oリング需要拡大で
NOK(鶴正雄社長)は自動車機能部品の一つであるOリングの需要拡大に伴い、ベトナム・ホーチミン市近郊にあるアマタ工業団地内のベトナムNOK(吉田直文社長)の工場に約35億円を投資し、工場の増築ならびに生産能力の増強を行った。7月25日にはNOKの鶴社長、ベトナムNOKの吉田社長のほか、渡邊信裕在ホーチミン日本国総領事らが出席の下、増築棟の落成式が執り行われ、本格稼働を開始した。
NOKはサプライチェーンの分断回避に向け、地震や台風、大雨など自然災害が多発する日本国内に集中していた生産体制の海外への分散を進めてきた。2016年の熊本地震では同社の熊本事業場も被災。建屋や生産設備に大きな損傷はなかったものの、電力等のインフラが滞ったことで製造が一時的停止に追いやられた経験から、生産拠点分散のさらなる必要性が高まった。
ベトナムNOKは04年8月、ベトナムでの日系メーカー等に対する販売を促進するため、日本品質品の生産拠点として設置。オイルシール事業部の国内増産対応および低コスト生産、タイNOKにおける将来の受注増の受け皿として対応するため設立された。
今回、さらなる自動車産業からの需要拡大を受け、ベトナム工場の敷地面積を現在の約1・4倍となる4万4000平方㍍に増築。主力部品であるOリングの生産スペースを約2倍の2万4000平方㍍に拡張した。増築棟では、製造現場のスマートインフォメーション(デジタル診える化)を推進し、「早期の異常発見・対策」「トレーサビリティ(原材料の調達、生産、消費、廃棄に至るまでのプロセスを追跡)」を強化。また、従業員出入口に2輪用の顔認証自動ゲート設置(渋滞緩和、セキュリティ強化)や食堂のIT化(配膳数管理による廃棄ロス活動)なども進められている。
加えてグリーン・ファクトリー(環境に配慮した生産工場)を推進するべく、CO2の削減や省エネルギー化などのサステナビリティへの取り組みも積極的に行われている。排水の削減に関してはNOKの浄水膜簿の技術を活用し、工場で使った水の約23%を再利用、年間3万4320㌧削減されている。
落成式であいさつに立った鶴社長は「モビリティニーズの多様化、産業用ロボット、一般産業機器のニーズの高まりなど、使用用途が拡大する弊社の戦略製品のOリングの重要生産拠点である、ベトナム工場増築が実現したことは非常にうれしい。サプライチェーンを維持することはもちろん、安全で働きやすく、だれもが格差なく快適でやりがいを持てる労働環境を備えた工場の完成に、尽力頂いたすべての皆様に感謝したい」と述べた。続いてベトナムNOKの吉田社長は「今回の増設は工場建設だけでなく、生産設備、駐車場や排水処理設備など、約35億円の大型プロジェクト。従業員一同、力を合わせて必ず成功させ、ベトナム社会に貢献していきたい」と意気込みを述べた。
【ベトナム工場概要】
▽所在地=ドンナイ省ビエンホア市アマタ工業団地内
▽資本金=2700万US㌦(30億円)
▽株主=NOK100%
▽面積=土地9万5000㎡、建屋4万4000㎡(オイルシール棟2万㎡、Oリング棟1万2000㎡から増築後2万4000㎡)
▽生産品目=Oリング、オイルシール
▽従業員=1994人(22年3月末時点)