帝人フロンティア
世界初、環境配慮型タイヤコード開発
RFL接着剤と同等の性能
30年に生産量20万㌧
帝人フロンティア(平田恭成社長)は、人体や環境に影響を及ぼす可能性があるとされるレゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない接着剤を用いながら、ゴム補強繊維にケミカルリサイクルポリエステル繊維を使用した環境配慮型のタイヤコードをこのほど開発した。RFフリーの接着剤とケミカルリサイクルポリエステル繊維を組み合わせたタイヤコードの製品化は世界初となる。
近年、環境や安全に対する意識の高まりから、自動車を構成する重要な部品であるタイヤについても環境に配慮した素材使用のニーズが高まってきている。こうした中、同社は環境活動指針として「THINKECO」を掲げ、衣料から産業資材まで幅広い用途で地球環境に優しい活動を実践。2008年に当時としては世界初となるケミカルリサイクルポリエステル繊維を使用したタイヤコードを、20年3月にはRFを使用しない環境配慮型のゴム補強繊維用の接着剤を開発するなど、タイヤをはじめとするゴム製品用途において、環境配慮型素材・製品の開発を進めてきた。今回開発されたタイヤコードは、この指針に沿って開発された。
今回、同社が有するこれらの技術を融合することによってRFフリーの接着剤と、ケミカルリサイクルポリエステル繊維を組み合わせたタイヤコードを世界で初めて製品化し、タイヤの製造プロセスにおけるさらなる環境負荷低減を実現した。
今回開発されたタイヤコードは、接着剤にRFの代替として高分子化合物を使用することで、接着加工プロセスにおいて環境負荷低減に貢献する。また、繊維およびゴムとの親和性が良好であることから、従来のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤と同等の接着性能を実現している。タイヤコードに使用されているケミカルリサイクル繊維は、強度や耐疲労性、寸法安定性および耐熱性などが維持できるケミカルリサイクル法によるポリマーを原料としており、石油由来のポリエステル繊維タイヤコードと比較して製造時のCO2排出量を抑えながらも、同等の品質・性能を実現している。
今後の展開としてはタイヤコードを手始めに、ベルト、ホースなどのゴム製品の補強繊維として幅広く展開を図る。来年からこのタイヤコードの試験生産を開始し、30年には年間20万㌧の生産量を目指すとともに、今後もさまざまな環境負荷低減に貢献するソリューションの提供を行っていく。
今回開発のタイヤコードは、9月13~15日に米・オハイオ州アクロンで開催された北米最大級のタイヤ関連展示会および協議会である「International Tire Exhibition and Conference」へ出展を行った。