2022年12月20日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】
フォルボ・ジークリング・ジャパン

新たな製品リリース
高い食品衛生性、洗浄容易

フォルボ・ジークリング・ジャパンの搬送用樹脂ベルト部門の国内販売実績は、前期の実績を上回って推移しているものの、予算に対しては若干の未達となっている。ただし、今期の中盤以降からベルト販売が堅調に推移していることから、当期(2022年12月期)の業績としては対前年実績で販売増加、予算についても達成できるものと見込んでいる。その一方で、ポリウレタンをはじめとした原材料費の高騰によるコスト面における状況は厳しく、同社としては収益圧迫要因としての影響を最小限に抑える目的から、グローバルでの自助努力を全体で実施。しかしながら、価格高騰によって適正価格を維持できない状況に陥った場合には、製品の安定供給と品質の維持を重視する観点から、顧客への価格調整のお願いに踏み切るケースも想定している。

需要業界を取り巻く環境としては、物流・繊維・食品OEM関連が好調を維持。物流が上向いている一方で、その他産業については持ち直しが遅れている状況もうかがわれる。食品産業は堅調な状況が継続しており、同社としては改正食品衛生法への早期対応を行う目的からドイツ本社を含め、社内外関係各所との間で調整作業を継続している。

物流産業に向けては、ネット通販の拡大に伴うEコマースの大型物流案件の獲得や、蛇行調整が困難なコンベヤに適しているELベルト(準弾性トランジロンベルト)の市場展開においても力を注いでいる。一般産業は、広幅な搬送用ベルトの販売活動に注力。主力のコンベヤOEMにおいて、部品調達が困難な状況による影響が少なからず出ているものの、引き続きコンベヤ案件の獲得に向けて積極的に取り組んでいく。

新製品に関しては、HACCPコンセプトを支援する新製品として食品搬送・加工工程用ベルトであるジークリングトランジロン「Prosan」の新シリーズ4製品、ホモジニアスベルトである「ジークリング フルサン」から1製品をリリース。耐加水分解性ポリウレタンを使用していることからベルト表面が傷付きにくく、カビなどの栄養源となる残渣(さ)の付着を抑制、食品残留物の付着も抑えられていることからクリーニングも容易にしている。心体帆布への液体浸透がないことから洗浄時間も短縮。エッジのほつれやコーティングの劣化・収縮が少なく、優れた耐久性を備えていることで、繰り返しの洗浄を要する用途にも適している。

Prosanの新シリーズ4製品は、ベルト両面に無毒性のポリウレタンコーティングを施した大好評の従来シリーズに、主要食品規格すべて(日本=改正食品衛生法[厚生省告示370号/改正食品衛生法(PL制度)]、米国=FDA(米国食品医薬品局)規格、EU=PIM規格:食品に接触する素材および製品に関する規則[(EC)No.1935/2004])に適合させている。青色の色調でプライ数1の「E3/1 U2/U2 BT/SM―HACCP―PS(BL) FDA」、色調が白色の「E3/1 U2/U2 BT/SMT―HACCP―PS(W)FDA」およびプライ数が2で色調が青色の「E4/2 U2/U2 BT/SMT―HACCP―PS(BL)FDA」、白色の「E4/2 U2/U2 BT/SMT―HACCP―PS(W)FDA」の計4製品をラインアップしている。既存のコンベヤ構造を生かしながら、フルコーティング品へと置き換えたい場合や、小径対応が必要な場合などといった用途による使い分けにも対応する。エッジシールとベルトを完全に一体化させる加工で、ベルト内部への液体浸透をさらに防止するスマート・シール加工(Prosan推奨オプション)の請け負いも行う。

ジークリング フルサンの「フラットプロFLT+」シリーズは帆布を使用することなく、衛生性に優れたポリウレタン単一素材を使用。アラミドコードによる補強が行われている。高品質の原材料を使用し、高水準な製法で製造されており、優れた柔軟性、堅ろう性、耐久性を備えている。現行のFDAおよびEUの規格に準拠しており、改正食品衛生法への適合についても確認作業が進められている。平たんで滑らかな表面と耐加水分解性ポリウレタンにより、特に洗浄が容易。洗浄期間のサイクルが短い場合でもベルトへのダメージが最小限に抑えられる。新たにリリースされた「FLT+U30 MT/GL―NA―HACCP(BL)FDA」は青色の色調で、異物混入リスクをさらに小さくし、頻繁にベルトを洗浄する必要性を備えた用途にも適している。