【ホース・チューブ・継手特集】
タイガースポリマー
バイオマスシリーズ
ユーザーからの反応上々
タイガースポリマーが手掛けているホース事業の2023年3月期第3四半期までの現況は、一般サクションホース・ダクトホースの販売が前年同期実績を上回って堅調に推移した。家電向けは、クリーナー・洗濯機・布団乾燥機用やドレンホースといった商材が高い水準での販売を維持した。年度終盤の業況としては、第4四半期に入ってからはサクション系の需要が落ち着いた状況で一服感が漂っているが、通期トータルでは計画をクリアし、前年比プラスで着地する見通し。これまで好調であった半導体製造装置業界向けでは、部材のひっ迫による影響で顧客の生産が低迷した時期もあったものの、全体的には堅調さを維持。また、愛知県豊田市「明治用水頭首工」で発生した漏水事故では、復旧に向けたホースの供給に同社としても力を尽くし、結果としてそういった案件が特需として業績を押し上げた。
一方、販売は堅調を維持しているものの、とどまるところを知らない原材料、物流費、ユーティリティコストの高騰による影響は一段と深刻さを増しており、利益面においては非常に厳しい状況は継続している。従来から生産ロスの削減をはじめ、あらゆる効率化に向けた取り組みを継続して推進しているものの内部努力の限界を超えたことから、苦渋の選択として今期において製品全般の値上げを打ち出した。同社としては今後も既存生産設備の更新や新規開発に向けた製造設備の導入といったメーカーとして必要不可欠な取り組みを適宜実施しながら、安定供給を最優先とした事業運営にまい進していく。
新製品の展開としては、持続可能な社会の実現に貢献する商材として原材料の一部にバイオマス材料を使用したポリ塩化ビニール(PVC)製ダクトホースと透明チューブを昨年8月から販売開始。ホースやチューブ製品にバイオマス材料を採用したのは同社が国内初であり、「バイオマス(BM)シリーズ」としてラインアップを拡充させながら拡販活動を強化していく。発売から8カ月ほどが経過したが、地球環境保全に関心の高いユーザーからの反応は上々でカーボンニュートラルが叫ばれている昨今、引き合いも増加。「今後はチューブ、ダクトホース以外の製品でも検討を重ねながら、市場展開を図っていく」(同社)。
同社はゴムシート、ホースをはじめ、各種の成形品まで多様な製品を展開するメーカーとしての総合力を生かした事業展開が強み。それぞれの需要分野のユーザーニーズを市場から着実にくみ上げ、開発に落とし込んだ機能製品の提案に軸足を置いて販売活動を推進している。そういった顧客の〝困り事〟を解決する特長を製品に反映させた事例としては、耐久性に加えて耐油性も兼ね備えたデリバリーホース「タイパワーホース耐油WS型」が現場での多岐にわたる使用条件に合致することで評価につながっている。また高いレベルでの難燃性が求められる吸排気配管、保護菅用途では、優れた難燃性を発揮する「タイダクトホース難燃GL―HG型」を市場投入。メーカーとしての信条と今後の開発・販売の方向性としては「幅広いニーズを満たす付加価値製品でユーザーの課題解決の役に立ち、ひいては製品の拡販によって社会と〝環境〟への貢献にも取り組んでいく」(同社)。