2024年3月期第2四半期決算説明会
日本触媒
市況の影響今期継続
中国、欧州の経済回復に期待
日本触媒(野田和宏社長)は11月7日、大阪市中央区の同大阪本社で「決算発表記者会見」をオンラインとのハイブリッドで行った。それによると売上収益は前年同期比11・5%減の1943億100万円、営業利益は同42・3%減の100億600万円、税引前四半期利益は同51・6%減の97億8500万円、四半期利益は同51・2%減の68億6100万円となった。製品海外市況および原料価格の下落に伴い販売価格が下落したことや、販売数量の減少もあって減収、利益面については、海上輸送費の下落などによって販売費および一般管理費が減少したものの、前年同期において原料価格高騰に伴い発生した在庫評価差益が当期において原料価格下落により差損、一部製品において販売価格の下落によりスプレッドが縮小した。加えて持分法による投資利益が減少したことにより収益面も伸び悩んだ。
営業利益における増減要因は、販管費の抑制により49億円、その他の収益で4億円の増収要因があったものの、加工費などの高騰により97億円、スプレッドの影響による23億円、数量差で7億円の収益圧迫要因によって利益面が伸び悩んだ。
セグメント別の概況は、マテリアルズ事業の売上収益は前年同期比11・3%減の1424億800万円、営業利益は同41・2%減の82億8900万円。アクリル酸およびアクリル酸エステルは、製品海外市況や原料価格の下落に伴って販売価格が下落、販売数量も減少した。高吸水性樹脂は、原料価格の下落に伴い販売価格が下落、酸化エチレンは販売数量が減少したことや、原料価格の下落に伴って販売価格が下落したことによる影響を受けた。エチレングリコールは、原料価格の下落に伴って販売価格が下落、特殊エステルは、販売数量の減少や、製品海外市況の下落に伴い販売価格が下落したことにより伸び悩んだ。無水マレイン酸は、販売数量の減少や、原料価格の下落に伴い販売価格が下落。プロセス触媒も販売数量が減少したことによる影響を受けた。収益面は、海上輸送費の下落などによる販売費および一般管理費の減少や、一部製品において販売数量が増加するなどといった増益要因があったものの、前年同期において発生した在庫評価差益が当期においては差損へ転じ、一部製品の海外市況の下落等によりスプレッドが縮小したことなどが減益要因となった。
ソリューションズ事業の売上収益は同12・2%減の518億9200万円、営業利益は同62・3%減の9億8300万円。コンクリート混和剤用ポリマー、セカンダリーアルコールエトキシレートおよび洗剤原料などの水溶性ポリマーは、販売数量の減少、原料価格の下落に伴う販売価格の下落などによって減収となった。エチレンイミン誘導品は、販売数量が減少したことで減収。塗料用樹脂は、販売数量が増加したことや販売価格が上昇したことにより増収となった。ヨウ素化合物および脱硝触媒は、販売数量が減少したが、電子情報材料は、製品販売構成により増収となった。電池材料は、製品販売構成がマイナスに働いた。収益面は原料価格の下落などによってスプレッドが拡大、連結子会社である中日合成化學股份における土地の売却益12億8000万円を計上したことなどによる増益要因があったものの、生産・販売数量が減少したことや前年同期において発生した在庫評価差益が当期においては原料価格下落により減少したことに加え、日本触媒とArkema社とで検討されていたLiFSI事業の欧州合弁に対する当面の見合わせ、他の立地検討を進める方針を決定したことで、資産計上していた関連支出を費用に振り替えたことなどによって10億200万円の減益要因が発生したことも影響した。
通期については、下期において、中国や欧州などにおける経済の低迷が継続する中で、販売数量やアクリル酸およびアクリル酸エステルなどの海外市況の回復が予想より遅れていることなどから、下振れするものと予測。同社では、上期実績および下期見通しを踏まえて下方修正を行った。それによると、売上収益は前期比7・0%減の3900億円(修正前予想値4200万円)、営業利益は同34・1%減の155億円(同180億円)、税引前利益を同42・7%減の150億円(同200億円)、当期利益を同45・9%減の105億円(同145億円)を見込んでいる。