2019年12月5日

西部ゴム商組「ベルト商工懇談会」
深刻化する諸問題の対応策は? ~自動化で品質維持等~

西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)が大阪市北区の中央電気倶楽部において11月11日に行った「ベルト商工懇談会」においては、ベルト業界が直面している最近の課題についての話し合いが活発に行われた。

原材料や副資材費の相場が上下に変動する状況にあって、メーカーがベルトの値上げに踏み切った件については「最も頭を悩ませている問題が物流費であり、価格の高騰だけでなく、最近では運送を拒否される場合さえある。2016年辺りからそういった流れが続いており、通常配送からチャーター便に切り替えざるを得ない状況も増加するに従って、問題は一段と深刻化している。これについては自助努力での解決は難しく、今後もこういった事情が続く限り、価格に跳ね返る事態は避けられない」と回答。あるいは「人手不足が深刻で、現在は自動化を進め、品質を維持させながら安定供給を図る取り組みを進めている。できる限りの企業努力は行っているが、製造コストの上昇は避けられない。ゴムコンベヤなど、大きくて長いものになると物流費も大きくなり、製品価格に反映せざるを得ない状況になっている」と説明した。

 物流に対する危機感は商業社側にもあり「最近の働き方改革による影響もあって、集荷時間や集荷頻度の制限(一日に一回までなど)があり、このままではお客様へのサービスの低下につながるのではないかと懸念している」という声も聞かれた。

 人手不足や後継者不足の解消に向けては「数人単位で業務をこなしている規模の会社では、高齢化の進行に伴って仕事が行き詰まるようになる。技能労働者の減少分については、研修の受講や実施などを通じて人材を育てていく必要がある。ベルトエンドレス業界などでは、技術の伝承が重要な命脈でもあり、廃業を防ぐためには技術者を確保する努力を常に行っていく必要がある」など、今後に向けての前向きな意見が聞かれた。

 最近の災害の多発に伴うメーカーのBCP(事業継続計画)体制に関する質問については「BCPは重要な施策として位置付けているが、OA、自動車、家電など需要業界や業者によって要求事項が異なることから一律に打ち出すことは難しい。代替地における生産、在庫での対応が現在では最も現実的であり、その体制づくりを前向きに進めている」というメーカーが取り組んでいる現状が説明された。