【ホース・チューブ・継手特集】
ニッタ
ラインメイトLB-70
最高の柔軟性で評価
ニッタのホース・チューブ事業の2020年3月期第3四半期までの状況は、国内は自動車向けが堅調に推移したものの、建設機械向けや半導体関連が伸び悩み、海外においても主力需要分野の足踏み状態が続いたことで、売上高は前年同期比11%の減少となった。チューブ製品では、半導体製造装置分野の低迷により同社の販売も大きな影響を受けた。一方、ホース部門では、台風19号による水害で顧客建機メーカーのサプライヤーが被災。バルブなど部品の調達が滞ったことでユーザーの生産が落ち込み、ホース製品の需要が低調となった。直近の需要業界の動向については「半導体関連は、昨年秋ごろからスマートフォン・パソコンのほかにも5G関係などで新たな設備投資が進んでおり、一部の半導体製造装置メーカーは回復基調に乗っている。今期第4四半期に入ってからは各社で格差はあるものの、低調であった装置メーカーも少しずつ回復しており、各社のフォーキャストも上向いている。建機メーカーにおいても、現在は部品の調達面の問題が解消されており、ユーザーの生産が軌道に乗りつつある。主力需要業界の情勢が上向いてきたことを追い風に、さらに積極的な営業活動を展開しながら巻き返しを図っていく」(ニッタ・ムアー事業部一般産業営業部・長野浩二部長)。
同社が販売に力を入れている新製品の展開としては、超柔軟樹脂ホース「ラインメイトLB—70」シリーズの採用が増えている。ゴムホースに比べて軽量で耐摩耗性、曲げ半径などで優位性があり、従来品より柔軟性を15〜20%アップ。同社のラインアップの中でも最も柔軟性に富んだホースで、複雑なレイアウトにも追従可能なことから、工作機械をはじめ一般油圧機器など多様なアプリケーションで採用が進んでいる。さらに、同シリーズでは一段と細径化を図った「LB70—02」も市場投入。同事業部の部門横断式の新規開拓チーム「クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)」が顧客ニーズをくみ上げて開発された製品で、工作機械メーカーなどで順調にスペックインが拡大。外径7・5㍉、最小曲げ半径は実に10㍉で、よりコンパクトな配管を可能にすることが確固たる評価につながっている。
スポット溶接用難燃性チューブ「FUKチューブ」は自動車の溶接ラインや産業用ロボットでの採用が拡大。今後、国内はもとより北米やアジアにおいて、さらに需要の開拓を目指す。17年に一般産業部に移管したメカトログループのオートマチックツールチェンジャーは、自動車の製造ラインでの普及が先行しているが、一般産業の製造ラインのロボット向けにより力を入れていく方針。
さらなるグローバルの拡販に向け、同社はタイ工場で一般産業向けホースの生産を計画。これまで、日本からの輸出で対応してきたASEANのおう盛な需要にもさらにタイムリーな供給でこたえる。「今後も製・販・技が一丸となって顧客のニーズを引き出し、ユーザーの生産に貢献できる製品開発を一段と加速させていく」(同)。