塩ビ工業
環境協会・2019年塩ビ生産実績
生産量は2・8%増
国内出荷量は2・1%減少
塩ビ工業・環境協会(斉藤恭彦会長)はこのほど、2019年の塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ)の生産実績を発表した。
それによると19年の塩ビの生産量は前年比2・8%増の168万9000㌧、総出荷量は同4・5%増の169万7000㌧と増加した。総出荷量の内訳は国内出荷量は同2・1%減の103万1000㌧、輸出が同16・8%増の66万6000㌧と、国内出荷量が若干マイナスとなったものの、100万㌧台を維持したことに加え、インド向けを中心に輸出が好調であったことから生産量は前年比プラスとなった。国内出荷量の内訳は硬質用が同2・6%減の54万4000㌧、軟質用が同3・8%減の24万2000㌧、電線・その他用は同0・5%増の24万5000㌧。塩ビの需要の多くを占める建築・土木分野で住宅着工件数が前年の94万戸から91万戸へと減少、消費税率の引き上げなどといったマイナス要因があったが、雨とい、食品用フィルム、レザー等の出荷が好調で大幅な減少には至らなかった。主要輸出先はインド(44万8000㌧)、中国(9万2000㌧)、ベトナム(8万9000㌧)で全体の約85%を占めている。これまで中国が最大の仕向国であったが、14年以降は中国国内の生産能力増加に伴い中国、香港向けが減少傾向にあり、替わって農業用パイプを中心に需要がおう盛なインドが最大の輸出国となった。アジア需給がタイトに推移し、輸出が好調であったことから国内製造設備はフル稼働に近い状況となった。輸入は約5000㌧と相対的にわずか。
19年の塩化ビニルモノマーの生産量は同1・3%増の270万5000㌧、総出荷量は同1・7%増の269万2000㌧と、塩ビ同様プラスであった。総出荷量の内訳は、PVC(塩化ビニル樹脂)用が同2・6%増の171万7000㌧、その他用が同0・6%減の7万4000㌧、輸出用は前年並みの90万㌧となった。主要輸出先は中国(48万5000㌧)、フィリピン(12万6000㌧)、インドネシア(6万5000㌧)、台湾(6万㌧)で全輸出量の約80%強を占めており、輸入はない。
今後の見通しとして同協会では、今年になって新型コロナウイルス感染拡大の影響が塩ビ産業の需要にも顕在化しつつあるという。今年開催が予定されていた東京オリンピックの関連需要は一段落したもようで、今後は25年開催の大阪万博関連需要が期待される。都心部の大型都市開発や駅ターミナル工事、政府の「防災、減災、国土強化の為の3ケ年緊急対策」によるインフラの維持・更新のための公共工事などにより管材、電線被覆材、床、壁等内装材の需要に期待している。
海外ではインド、ベトナム、タイで塩ビ関連製造設備の新増設計画がほとんど予定されていない状況から輸入に依存する状態がしばらく続くと予想。新型コロナウイルスの拡大によって需要の下押しが生じているものの、建設工事関係の進展とともに潜在的な需要が塩ビ需要を支えるとともに、輸出量の増加に期待したいと述べている。