ダイセル
真球微粒子「ベロセア」開発
酢酸セルロースで
ダイセル(小河義美社長)は、環境にやさしく柔らかい触感を持つ酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA(ベロセア)」を開発した。主に化粧品向けの素材として、製品化を進めていく。
ベロセアは、同社の長年の主力製品である酢酸セルロースを独自の技術で加工した真球状の微粒子で、酢酸セルロースは天然に存在する酢酸と、植物由来のセルロースを原料とした環境にやさしい素材となっている。土壌やコンポスト(廃棄物中)のほか、海洋でも生分解されることが確認されており、同社ではその酢酸セルロースを、長年培った技術によって微粒子へと加工、表面が滑らかで、粒のそろった高度な真球状のベロセアの開発に成功した。柔らかい触感と伸びの良さも特長として持っており、ベロセアをファンデーションや日焼け止めに添加したところ、従来のマイクロプラスチックであるナイロン、アクリル、シリコンと比較して、ムラなく均一に良好な伸びを示し、使用感や機能面で優れていることが確認された。
マイクロプラスチックによる海洋環境汚染が世界的に問題視されている中で、化粧品業界においても、環境にやさしい天然由来の素材への要求が浮上。同社はベロセアを、化粧品業界の環境対応ニーズに対応する取り組みの一環として、既にサンプル品の提供を行っており、製品化に向けての検討を進めている。
さらに今回、ベロセアの開発によって、環境省の「令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に「自然回帰性原料による合成系微粒子代替に関する実証」として採択された。今回の採択により、同社ではベロセアの事業化を加速させ、環境省が進める「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築」に貢献する。
今回、環境省より脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業に採択されたことで、同社が長年培ってきたセルロース技術をさまざまな分野で循環型社会の実現に向けて生かしていく。
脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業は、環境省が海洋流出が懸念されるプラスチックから生分解性素材への転換と社会実装を目的に、代替素材の試作や評価などを通じ、技術的課題の解決など、事業化に向けて必要な実証を行う事業。学術・研究機関、民間企業などを対象に公募が行われ、採択された場合、原則3年以内の実施期間で社会実装に取り組む。