2021年5月15日

〈2021年3月期決算説明会〉ユーシン精機
利益はすべて増益果たす

アジアで受注が増加

ユーシン精機(小谷眞由美社長)は5月12日、Zoomウェビナーのライブ配信において決算説明会を行った。説明会には小谷社長をはじめ、6月22日から新社長に就任する小谷高代副社長も出席。質疑応答の場で小谷副社長は就任への心境を尋ねられ「これまでは、副社長として忙しい日常に忙殺されていたこともあり、会社の中で成し遂げられなかった事案も多い。次からは企業のトップとして、これまでの経験を生かしながらユーシン精機を揺るぎない会社として発展させていくために力を振り絞っていきたい」と述べ、強い思いをにじませた。

同社の当期の売上高は前期比7・7%減の184億7300万円、営業利益は同9・2%増の25億2200万円。経常利益は同18・3%増の26億800万円、当期純利益は同19・2%増の18億2700万円となった。売上高の減少はあったものの、売上総利益率の改善に加えて、経費削減に努めたこともあって、為替差益の発生によるマイナス要因に見舞われたものの、前期よりも収益を伸ばした。配当については業績の動向および配当性向等を総合的に勘案し、年間配当を1株当たり4円増配し、18円とした。

同社では新型コロナウイルスの感染症拡大という環境下にあって、十分な注意を払いながらも、引き続き世界規模での新規顧客の開拓を実施。第3四半期以降は、国内・海外ともに受注が上向き始め、特に中国をはじめとするアジアの一部の国で設備投資の回復傾向が顕著であったことから、受注は増加した。当業績については、医療関係を中心に北米が堅調に推移。中国や韓国でも医療関係を中心として、販売が前期比で増加した。しかしながら、設備投資意欲の減退によって日本における取出ロボットの販売が前期比で減少。欧州での特注機は大口の案件が少なかったこともあり、一定の売り上げがあったものの前期比では下回った。

製品別での売り上げ状況は、主力製品である取出ロボットが前期比6・8%減の119億400万円。日本、東南アジアを中心に設備投資が減少したが、米国では検査キットなどといった医療関連の需要が伸びており、自動車分野の減少分をカバー。下期は中国を中心に設備投資が回復した。特注機は、海外向け医療関係の減少により同15・6%減の34億2200万円。部品・保守サービスは同1・2%減の31億4700万円。

地域セグメント別では、日本の売上高は同9・6%減の133億3700万円、営業利益は同0・8%増の12億8600万円。米国の売上高は同18・8%増の34億6000万円、営業利益は同74・1%増の4億6800万円。アジアの売上高は同14・5%増の45億8200万円、営業利益は同41・4%増の4億600万円。欧州の売上高は同27・4%減の19億1400万円、営業利益は同62・8%増の3億7500万円となった。

今後の見通しは、米中貿易摩擦の長期化や新型コロナウイルス感染症の再拡大による社会経済への影響が引き続き懸念され、収束に向けての先行きは非常に不透明。しかしながら、感染防止対策および経済対策によって経済活動は当期からみて回復傾向に進むものと見込んでいる。

主力の取出ロボットにおいては、グローバルマーケットの各地域に適した商品の販売拡大によって、市場シェア向上に注力。最上位機種FRAで開発したアクティブ振動制御機能、IoTサービス〝INTU LINE〟、AIを活用したサービスなど独自技術を駆使することで、商品力の強化のための開発を一段と加速させる。特注機では、人手不足や衛生面に対する配慮などにより、国内外において高まる自動化ニーズを受けて、引き続き販売拡大に努め、新規事業の開拓を継続していく。特に当期に発売し、食品を主軸とした新しいユーザー層の獲得、省スペースでフリーアクセスというベネフィットを備えたパレタイジングロボットの「PAシリーズ」販売に力を注ぎ、新規事業の開拓を加速させる。「当期は医療用途が好調だったが、大型の特注機となるとロボットよりもタイムラグが生じるなど不透明な部分がある。しかしながら中国では『医療向け=ユーシン精機』の評価を頂くほど評価は高く、中国からの受注は拡大するものと見込んでいる」(小谷副社長)。

今期の売上高については前期比8・3%増の200億円、営業利益は同3・1%増の26億円、経常利益は同0・8%増の26億3000万円、当期純利益は同0・7%増の18億4000万円を計画しており、増収増益を目指す。