2021年6月5日

三洋化成工業
世界初の全樹脂電池量産工場完成

5月25日に武生工場で開所式

三洋化成工業(安藤孝夫社長)の持分法適用会社で、全樹脂電池の製造および販売を行うスタートアップ企業のAPB(本社・東京都千代田区、堀江英明社長)が全樹脂電池の量産のための第一工場を設立し、昨年より準備を進めてきた「APB福井センター武生工場」(以下、武生工場)がこのほど完成した。

全樹脂電池は活物質に樹脂被覆を行い、樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成している。このような独自の製造プロセスによって従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで、製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で、樹脂で構成されていることから電極の厚膜化が容易に行え、セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長となっている。

5月25日に行われた開所式は新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受け、規模を大幅に縮小し、感染拡大防止対策を徹底の上、社内関係者を中心に執り行われた。式典であいさつに立った堀江社長は「福井県越前市において、第一量産工場を本日無事開所できたこと、ひとえに関係者の方々のお力添えがあってのことと、心より感謝致している。関係者の皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げる」と語った。また、筆頭株主である三洋化成工業の安藤社長は「世界初の全樹脂電池の量産工場の開所ということで、心よりお祝い申し上げる。全樹脂電池はまさにサステナブルでよりよい社会を創造するために欠かせないソリューション。全樹脂電池を世に広め、事業を発展させるよう今後も支援を行っていく」と祝辞を述べた。

武生工場は世界初の全樹脂電池の量産工場となり、従来のリチウムイオン電池工場とは大きく異なる特長を有する。廃液が出ないだけでなく、乾燥工程をはじめとする多くのプロセスを排除することで、使用エネルギーを削減することにも努めるなど、環境保護、保全効率の向上を重視した設計がなされている。

量産開始当初(今年10月予定)は、特殊用途を中心に生産が行われるが、高エネルギー密度という特長を生かし、定置用蓄電池や各種モビリティ用途にも対応して生産を拡大させていくとしている。将来的には武生工場を事業拠点として、生産拠点の世界各地への展開も図っていく考え。

【APB福井センター武生工場の概要】
▽所在地=福井県越前市庄田町
▽建物概要=敷地面積約3万2842㎡、2階建て、延床面積約9628㎡
▽事業内容=全樹脂電池の設計、製造