横浜ゴム
タクシー向けオールシーズンタイヤ
ニーズにこたえて国内本格販売
横浜ゴム(山石昌孝社長)は、トヨタ自動車(豊田章男社長)が販売している「JPN TAXI」向けのオールシーズンタイヤ「TAXI TOURING A/S(タクシー・ツーリング・エーエス)」を11月1日から国内で本格発売した。発売サイズは185/65R15 88Hの1サイズで、価格はオープン価格。なお、同商品は昨年12月からタクシー事業などを展開している国際自動車(本社・東京都港区、西川洋志社長)向けに発売されていたが、今月から全国販売を行うこととした。
近年、都市部では大雪による事故が社会問題化したことを背景に、ハイヤー・タクシーへの冬用タイヤの装着ルールが厳格化しており、事業者にとってスタッドレスタイヤの購入、シーズンごとのタイヤ交換、使用しないタイヤの保管などタイヤにかかわる手間やコストの増加が課題となっている。オールシーズンタイヤはドライ・ウエット路面から冬の突然の降雪による雪道まで一年を通じて使用できる(深雪や凍結した路面ではスタッドレスタイヤの装着を推奨)ため、こうした課題の解決に貢献することができる。同社は国際自動車とともに約2年の歳月をかけてタクシー・ツーリングA/Sの共同開発を行ってきた。
タクシー・ツーリングA/Sはオールシーズンタイヤとしての雪上性能、ウエット性能、ドライ性能を確保しながら、タクシー用タイヤに求められる耐摩耗性能の向上を追求。トレッドパターンには横浜ゴムの高度なグルーブ・サイプ技術(周方向の溝を横断する横溝で雪柱せん断力を確保する「十字グルーブ」、内部が3次元構造になっているサイプを採用した「オールシーズン3Dサイプ」、直線より距離を稼げる稲妻型を採用した「ナローライトニングサイプ」、幅方向に多くの切れ込みを配置し、雪上路面での雪を噛むエッジ効果を発揮する「マルチサイプ」、3本の主溝と1本の細溝で排水性を確保する「3・5ストレートグルーブ」等)を投入し、イン側はウエット性能、センター部は雪上性能、アウト側はドライ性能を発揮する専用の非対称パターンを開発。さらにタイヤの周方向に対して、長さの異なる5種類のピッチ・バリーエーションを最適に配置した「5ピッチ・バリエーション」が優れた静粛性を発揮する。
コンパウンドは、マイクロシリカの多量配合および末端変性ポリマー(ポリマーの分子鎖末端部に、シリカ分散性を向上させる官能基を有する特殊ポリマー)と複数のポリマーの最適配合によって、雪上性能とウエット性能を高次元で両立させながら燃費性能にも配慮。また、プロファイルを正方形化することで路面との接地面積を最大化。乗員数や荷物の量で荷重が変化しても均一な接地圧を保持し、偏摩耗を抑制する。
サイドウォールには、サマータイヤよりも積雪路を走行できる証である「M+S(マッド&スノー)」規格のマークを打刻。加えて国際基準で定められたシビアスノータイヤ条件にも適合、欧州で冬用タイヤとして認証された証である「スノーフレークマーク」が打刻されている。同商品は高速道路の冬用タイヤ規制時にも対応(チェーン規制の場合は、スタッドレスタイヤを含むいかなるタイヤもチェーン装着が必要)している。