2021年11月5日

西部ゴム商組
中堅社員向け「リ-ダーシップ研修」

人材育成研修事業第一弾
心構え、行動等習得

西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)は10月27日、11月5日の両日、大阪市北区の中央電気倶楽部で中堅社員向けの「リーダーシップ研修」を開催した。本来は8月に開催を予定していたが、政府による緊急事態宣言の発出を受けて延期を決定。宣言明けを待って今回、今年からの3年計画で企画している人材育成研修事業の第一弾として実施した。今回も数多くの参加希望が寄せられたことから、同じ研修内容を2日に分けて開催、初日だけで31人、2日間で62人が参加し、研修を通じてそれぞれがリーダーとしての資質を高めた。

新型コロナウイルス感染症対策として、同倶楽部でもっとも広い大ホールを会場に、参加者同士の十分な距離を確保した上で、それぞれマスクとフェイスガードによる感染防止策を取りながら4時間にわたる研修が行われた。

開催に先立ってあいさつに立った同組合・人材育成部会の矢島友雄副部会長が「今回の研修の参加者を大いに歓迎する。本日の講習を有意義なものとし、リーダーとしての存在感を発揮することで、会社の仕事をスムーズに進めるために役立ててほしい」と期待の言葉を述べた。今回、派遣を含めた研修事業によって従業員のスキルアップを図り、企業価値を高めている人材育成コンサルタント企業のインソースから河野貴久代さんに講義を依頼。リーダーとしての新たなノウハウを習得する研修を始めるに当たって、河野講師は「せっかくの機会なので、皆さんの意見もお聞かせ頂きながら講義を進めていきたい。リーダーとしてのマインドリセットを促し、今後の有効なマインド活用術を明確に伝える目的で実施するつもりであり、職場で思い返すことで、コミュニケーションの本質を周囲と共有しながら仕事への取り組み方をさらに前に進めていってほしい」と趣旨について語った。

会場では、参加者を4~5人ずつに分けて、7つのグループを編成、主にグループワークを通じて研修を進めた。同業他社のメンバーの意見や物事に対する見方などのほか、それぞれ経験に基づいた情報交換を行いながら自分自身を客観的に省察。講師は特に〝気付きを促すことによる変革〟を重視しており、グループ内のメンバーに対する自身の表現力、他のメンバーの意見を真しに受け止めさせる形式を中心にカリキュラムを進行した。各グループの代表的役割を担う担当者(仕切り役)を参加者同士の推薦によって選出し、与えられたテーマに対して取りまとめられた結論を発表させ、それに対してのさまざまな意見やアドバイスを与えた。参加者は各企業の中堅リーダーとしての役職や地位に就いており、実務における経験や培われたノウハウなどの内容は豊富。与えられた数分間にわたるグループ内でのフリートークにおいて、自分が持っていなかった他者の意見を聞き、発想に触れて改めて組織の上下間の気持ちの在り様や自らの思いとのギャップを熟考。その結果、受講者からは「大きな衝撃を受けた。思い込みや固定観念の下で判断すると、本来得られるはずだった成果が削がれる可能性が高いことが分かった」という結論が発表された。それに対して河野講師は「同一の内容を見ても、聞いても人によって違ったとらえ方をする場合がある。〝三人寄れば文殊の知恵〟ということわざが示すように、他人の意見に耳を傾けることによって〝気付き〟が呼び起こされる。仕事が以前よりもスムーズに進み、成果につながる可能性が高まる」と結論に対する裏打ちを行った。

次いで、リーダーとしての類型をタイプごとに紹介。受講者自身に自ら当てはまる類型を推定させ、それぞれの類型に応じた部下や後輩に対する接し方を伝えた。その上で、組織自体の活性化に向けて河野講師は「部下と上司に共通して言えることは発信力の重要性であり、上司は目的を明確化し、仕事の進め方の方向性を的確に伝える必要がある。仕事に対する意義を示し、部下にとっては時には上司に意見できるムードづくりも必要であり、全体で気付きに至る組織上での意識の向上を図ることが大切」と説明。自らが喜びを伴って仕事を遂行するためにも、部下の仕事の進め方の向上は重要な要素であり、目標や仕事の意義を伝えることによって部下のモチベーションを高めることでかなえられる。求められるリーダー像としては「上司が取り組む姿勢を部下に見せ、それを支える仕事の意義の高さを認識させる。将来を考え、業務改善などといった変革にとどまらず、行き着こうとする方向を見せられる能力を身につけてほしい。上司とは経営者とのパイプ役ではなく、自らが経営者としての目線を持つことが大切で、そうした意識がリーダーシップを発揮させる」と互いの成長におけるプロセスについて解説した。情報の共有化が信頼性における重要なカギを握っており、途中で目的や方向性に変更が生じた場合、部下にとって上司の指示にブレが生じたという信頼性の低下に歯止めが掛かる。リーダーが周囲を巻き込みながら前に向かって進んでいくことで、紆余曲折に巻き込まれたとしても物事はスムーズに進む。「部下には取り組んでいる仕事の意義、会社や部署、自分にとってのメリットを認識させ、この上司についていけば間違いないと思ってもらえれば仕事の質の底上げは確実に図られる」と述べ、リーダーとして理想とするマインドを示した。

研修の終了後、同組合・人材育成部会の太田稔部会長が「リーダーにとって必要な資質はコミュニケーションであり、遠慮は不要ながら配慮は不可欠という条件をしっかりと受け止めて、皆さんが描くリーダーとしての姿を目指してほしい。バランスよく自分を仕上げていくことで、会社への貢献度を高めていけると思う。皆さんのこれからの活躍に期待している」と述べ、研修会をしめくくった。