タイヤ産業プロジェクト
CEO会議開催
持続可能性に関する活動成果確認
タイヤ産業プロジェクト(タイヤ・インダストリー・プロジェクト、以下、TIP)のCEO会議が11月4日にオンラインによって開催され、TIPが取り組む持続可能性に関する活動の進ちょく・成果について確認した。世界を代表するタイヤメーカーの最高経営責任者(CEO)として日本からはブリヂストン(石橋秀一CEO)、横浜ゴム(山石昌孝社長)、住友ゴム工業(山本悟社長)、TOYO TIRE(清水隆史社長)の4社が参加、海外勢としてコンチネンタル、グッドイヤー、ハンコックタイヤ、クムホタイヤ、ミシュラン、ピレリの代表者がオンラインで一堂に会し、世界の産業界が取り組むべき課題や克服に向けた方向性について話し合った。
TIPは2005年に設立され、世界を代表するタイヤメーカーのCEOが主導するプロジェクトで、タイヤがそのライフサイクルを通じて、人間の健康や環境に与える潜在的な影響について研究。持続可能な開発のための世界経済人会議(ワールド・ビジネス・カウンシル・フォー・サステナブル・デベロップメント、以下、WBCSD)の傘下にあり、ブリヂストン、グッドイヤー、ミシュランが共同議長を務めている。
世界のタイヤ生産能力のおよそ60%を占める主要タイヤメーカーのCEOが参画するCEO会議は、2年に一度の周期で開催。CEOはTIPが推進する活動の進ちょく・成果を確認し、その後2年間の活動計画を承認する。TIPの活動計画は「アシュランス・グループ」と呼ばれる第三者の外部科学者グループによりレビューされている。昨年から今年にかけてはCOVID―19がパンデミックとなる厳しい環境下での取り組みとなったが、さまざまな取り組みが行われ、今回のCEO会議では主な活動の進ちょく・成果が確認された。
タイヤ産業として、バリューチェーン上のステークホルダーと協働し、本年5月に、タイヤ産業としてサステナビリティに貢献するためのセクターロードマップ「サステナビリティ・ドリブン:アクセレイティング・インパクト・ウィズ・ザ・タイヤ・セクターSDGロードマップ」を発行。このロードマップは、国連の持続可能な開発目標であるSDGsに照らし合わせ、タイヤ産業としてSDGsのどの目標に最も影響があり、貢献できるかを特定し、その実現に向けた取り組みの方向性を示している。
このほか、TIP参加企業のタイヤ生産における主要な環境パフォーマンス指標を掲載した最新の報告書を発行。経営の最高責任者は、セクターロードマップの内容が持続可能なモビリティ社会の実現に向けて重要であり、SDGs達成にはこの環境パフォーマンス指標の活用継続が必要であると認識している。
タイヤと道路の摩擦により発生するタイヤ摩耗粉じん(タイヤ・アンド・ロード・ウエア・パーティクルズ、以下、TRWP)の科学的な研究の進展と効果的なコミュニケーションを継続。TIPが実施したTRWPに関するすべての調査結果や関連情報が閲覧可能な新しいウェブサイトが開設され、化学物質マッピング研究の結果も報告された。
今回のCEO会議では、近年のTRWPに対する科学的視点による関心の高まりを鑑み、科学的根拠に基づく理解の向上がTIPの優先事項であることから、来年から23年にかけて行われる活動計画の内容を承認。主な内容として、10年以上にわたるTIPの研究をベースに、TRWPに関する暴露・危険性評価の継続(フィールドサンプリング調査、トレッドゴムの浸出液評価、生物蓄積への潜在的な影響の調査など)。科学的手法を開発し、規格化を進めることによって学術界への貢献を果たす。
ステークホルダーとのエンゲージメントを通じた効果的な廃タイヤマネジメント「エンド―オブ―ライフ―タイヤ(以下、ELT)」において、TIPはELTステークホルダーワークショップを実施し、ELTマネジメントのためのツールキットを発行。TIPは今後もELTに関する調査を継続し、ステークホルダーとのエンゲージメントを深めながら、グローバルレベルでのELTマネジメント向上を目指していく。それに向けて、ELT関連データやベストプラクティスなどをステークホルダー間で共有できるデジタルプラットフォームを形成することがCEOによって承認された。