2022年5月15日

日精樹脂工業
新型専用射出成形機を開発

熱硬化性樹脂製品向け
国内初大型成形品の実用化に成功

日精樹脂工業(依田穂積社長)は、熱硬化性樹脂を用いた成形部品の大型化に対応するハイブリッド式専用射出成形機「FWX760Ⅲ―130BK」を開発し、6月1日から受注を開始する。

熱硬化性樹脂は熱を加えると「硬化」という不可逆的な化学反応を起こし、三次元架橋によって強固に結びつくことで優れた耐熱性や熱時機械的強度、電気的特性を発揮する。熱可塑性樹脂では要求特性を満たすことができないような用途分野である電気器具、配電盤などの電気絶縁部品や半導体関連、食器類、自動車部品等で欠かすことのできない樹脂材料となっている。

同社では熱硬化性について1965年から専用射出成形機を各業種向けに提供を行っているが、改めて熱硬化性樹脂の優れた特性に着目し、熱硬化性樹脂の最大手である住友ベークライト(藤原一彦社長)と連携。住友ベークライトの大型化対応の熱硬化性樹脂技術と日精樹脂工業の熱硬化性専用の中大型射出成形機、さらに両社が保有する成形技術の融合によって射出成形による熱硬化性の成形品としては、国内初となる成形品重量1㌔㌘以上の大型成形品の実用化に成功した。短繊維フェノール樹脂成形材料による連続成形において最大射出圧力、材料計量時間、製品重量の変動が小さく、一般的な型締力100tfクラスの成形機と同等の安定成形が可能。加えて、同成形機には繊維の配向を制御できる射出コンプレッション機能が搭載されており、成形品の異方性の低減、高粘度材料の充てん性向上、ウェルドレス、寸法精度・製品強度の向上が期待できる。

日精樹脂工業では今回さらなる用途拡大に向けて①熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)製品の大型化②材料の高機能化(長繊維等)に対応した熱硬化性樹脂専用の中大型射出成形機を開発した。同機は熱硬化性樹脂用として国内最大クラスの射出容量を持つ専用射出成形機で、型締力360tf(3540kN)相当の金型を搭載可能なワイドプラテンタイプ(タイバー間隔760×760㍉)となっている。射出機構を大型化しながら、熱硬化性樹脂の連続成形性、熱安定性を実現するため、加熱筒(スクリュ)設計を最適化しているほか、ち密な温度制御技術を搭載。新開発の直圧式型締ならではの射出コンプレッション機能を搭載しており、寸法精度に優れた熱硬化性樹脂の大型部品の連続安定成形を実現した。ワイドプラテンのFWX機では、低圧成形システムN―SAPLI(推奨オプション)との組み合わせにより、より大きな金型を搭載可能。また、新複合型締機構の搭載でコンパクトな機械設計となっており、成形設備のダウンサイジングが実現可能。2容量切換型ポンプと電動サーボモータを組み合わせたインテリジェント・ハイブリッド・ポンプシステム「Xポンプ」を搭載し、駆動源であるサーボモータが必要なときに必要な回転速度で作動し、作動油の吐出流量・圧力をコントロール。Xポンプの搭載により油圧式成形機と比べ、消費電力を大幅に削減できるほか、エネルギー効率が大きく改善されたことで、作動油温度の上昇が抑えられ、冷却水の低減が可能となる。さらに新開発の複合型締機構により、作動油量を大幅に削減(従来機比61%減)したことから、イニシャルコストやクーリングタワーなどの冷却水設備費・管理費のコスト低減も可能。本体標準価格(税別)は5270万円で、年間10台の販売を見込んでいる。