2022年7月5日

墨東ゴム工業会
「三木会」を開催

〝外国人技能実習制度〟テーマに

墨東ゴム工業会(霜田知久会長)は6月21日、東京都墨田区のすみだ生涯学習センターにおいて「三木会」を開催した。今回は、〝外国人技能実習制度〟をテーマに研修を実施。説明者として、日本ゴム工業会の小林伸也事務局長が招かれ、日本ゴム工業会における〝ゴム製品製造職種技能実習評価試験ホームページの紹介〟を行った。

冒頭、霜田会長から先般工業会より会員に募ったウクライナ難民支援に対する募金への謝意が述べられ、26社からの寄付と工業会からの寄付を合わせて総額50万円を国連難民高等弁務官事務所を通じて行ったことが報告された。

あいさつに立った霜田会長は「本日のテーマである外国人技能実習制度の本来の目的は、わが国の先進的な技術を発展途上国のモノづくりに役立てて頂くための実習制度。当会でも20数年前にタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなど東南アジア諸国に毎年のように交流を行ってきたが、金星ゴム工業の杉本会長と私は、ジェトロの技術指導員として登録していた。今回の制度では、正規に海外の方を迎え入れて長期にわたって技術の指導ができる制度。従来、ゴムの分野はこの枠組みに適合していなかったが、日本ゴム工業会様のご尽力で、ゴムがこの制度の職種に適用されたので、皆さんの役に立つお話をうかがえればと思う」と述べ、久しぶりの勉強会の開催に期待を示した。

内容は厚生労働省の職種認定について、外国人技能実習制度の目的、ゴム製品の加工の流れ、ゴム製品製造職種4作業の概要、実習期間と試験内容についての解説を行った。外国人技能実習制度の目的としては、日本が先進国としての役割を果たし、国際社会との調和ある発展を果たしていく目的から、発展途上国等に技能・技術、知識の移転を図り、経済発展を担う〝人づくり〟に協力する。送り出し国としては自国の技術・技能向上と普及、経済発展という効果が期待され、技能実習生にとっては自己の技術・技能向上と自国への伝承、国際貢献が果たせる。受け入れ側の日本としては、経済協力、グローバル化に加え、企業においては職場の活性化、労働力活用の面でメリットが得られる。

ゴム製品製造職種はゴム製品の製造工程(計る、練る、熟成する、形をつくる、固める、仕上げる)が複雑であり、製品の品種も多く、ノウハウも多種多様にわたっていることから、技能の整理が難しく認定ができていなかったが、日本ゴム工業会の会員会社がノウハウを結集して対応。約3年間の活動を経て、日本ゴム工業会がゴム製品製造職種の試験実施機関として厚生労働省より3月16日付けで、ゴム製品製造業も新たな職種として省令認定された。日本ゴム工業会としては「ゴム業界においてこの制度を拡充することを重要なテーマ」として掲げている。

技能実習生の実習期間は3年間で、入国から出国までの流れとしては、技能実習生を受け入れた後、事前に作成して外国人技能実習機構に提出した実習計画に沿って実習を実施。初級の評価試験により、安全な作業や作業標準の遵守状況、材料・製品の取り扱いや加工品検査、整理・整とんといったゴム業界共通の重要スキルを評価、合格することで、第1号技能実習から第2号技能実習へと移行する。その後、専門級の評価試験を行い帰国となる。

ゴム製品製造職種として、4作業の概要について説明。ゴムシートなどに代表される混練り圧延加工作業については、混練り圧延設備である混練機、ロール機、カレンダーロール機のいずれか一つ以上を用い、またはこれらを組み合わせて用いることによって型(ロール)でゴム材と配合剤を混練りした後、所定形状(シート形状等)に加工を行う作業。パッキン類・ホース類等に代表される押し出し加工作業は、押出設備を用いて、型(ダイ)を通し、ゴム材を連続的に出して所定形状に加工を行う作業。自動車・工業用部品・ボール類などに代表される成形加工作業としては、成形機である圧縮成形機、射出成形機のいずれか一つ以上を用い、またはこれらを組み合わせて用いることによって、熱および圧力を加えることで型(金型)でゴム材を所定形状に加工を行う作業。タイヤやベルト類に代表される複合積層加工作業では、複合積層設備を用いて、2つ以上の材料をゴムや接着剤の粘着力によって積層しながら型(ドラム、芯金)により、所定形状に加工を行う作業。説明後は、日本ゴム工業会の評価試験ホームページの紹介が行われた。最後に「日本ゴム工業会では、制度活用によって送り出し国・実習生・受け入れ企業の3者がウィンウィンの関係となるよう進めていきたいと考えている。できるだけ多くの企業にご賛同頂き、たくさんの技能実習生にゴム製品製造の技術・技能・知識をしっかりと伝承することで、海外への経済発展に貢献したいと考えている。皆さんには技能実習制度活用を前向きにご検討頂き、制度活用の際、不明点があれば当工業会のホームページの〝お問い合わせ〟より、ご連絡をお願いしたい。何とぞご活用のほどお願いしたい」と呼び掛け、説明会を締めくくった。