2022年8月5日

日本ゼオン
第1四半期決算説明会を開催

売上高は第1四半期で過去最高

日本ゼオン(田中公章社長)は7月28日、ウェブを通じて2023年3月期の第1四半期における「四半期決算説明会」を開催した。それによると当期の売上高は前年同期比11・9%増の975億7600万円、営業利益は同22・6%減の107億2600万円、経常利益は同12・7%減の129億4000万円、四半期純利益は同13・4%減の87億600万円となり、売上高については第1四半期で過去最高となった。

セグメント別では、エラストマー素材事業部門の売上高は同9・9%増の535億4700万円、営業利益は同33・1%減の40億5800万円。営業利益の増減要因は、販売価格改定により77億円、為替差益で25億円の増益要因があったものの、原料価格の高騰による影響によりマイナス86億円、販管費減(海上運賃上昇など)で20億円、出荷量減による16億円の減益要因が上回った。合成ゴム関連では、自動車減産の影響を一部で受けたものの全体としては底堅い需要に支えられ、国内販売、輸出販売、海外子会社いずれも堅調に推移した。原料高騰分の価格転嫁が進んだことから全体の売上高、営業利益ともに前年同期を上回った。合成ラテックス関連では、医療・衛生用手袋の流通在庫が引き続き過剰で需給が緩んだことに加え、原料高騰の影響も重なり売上高、営業利益ともに前年同期を大幅に下回った。化成品関連では、原料高騰分の価格転嫁が進んだことから、売上高は前年同期の実績を上回ったものの、度重なる物流費高騰の影響などを受け、営業利益は前年同期の実績に及ばなかった。

高機能材料事業部門の売上高は、同19・5%増の300億7600万円、営業利益は同10・1%増の69億8100万円。営業利益の増減要因は、数量差(電池材料、化学品出荷量増)で6億円、価格差(光学樹脂・化学品販売価格改定)で9億円、為替差益で7億円の増益要因があったものの、原価差(棚卸資産関連費用・原料価格影響など)で17億円、販管費増(海上運賃上昇・新規開発費用増・間接部門費用配賦増など)で13億円の収益圧迫要因があった。高機能樹脂関連では、医療用途向け、大型テレビの需要は底堅く、光学樹脂、光学フィルムともに販売が堅調に推移、高機能樹脂関連全体の売上高は前年同期を上回った。しかしながら、ナフサ高騰などの影響に伴い原価率が悪化したことなどにより、営業利益は前年同期の実績に届かなかった。光学フィルムの中小型向けは、スマホ向け次期モデルの立ち上げ生産回復により出荷が増加、同5%増となった。大型向けは、市場のパネル在庫調整で前年同期比、前四半期比ともに横ばい、在庫調整継続で第2四半期は出荷減が継続、回復は前3四半期の見込み。

電池材料関連では、新型コロナウイルスの感染拡大による中国ロックダウンや、顧客の生産調整の影響を一部受けたが、総じて需要は堅調に推移、売上高、営業利益ともに前年同期の実績を上回った。EV向けは、中国のロックダウン、LIB原料価格高騰等の影響を一部受けたものの、中国・欧米向けを中心にEV・PHVの拡大に伴い需要は堅調に推移、同35%増となった。民生他向けは、家電およびモバイル端末向けの需要が一巡したことで一服感が継続。産業用途(ESS)は堅調に推移したものの同38%減となった。

化学品関連では、合成香料および特殊溶剤用途の需要が堅調に推移、加えて、原料および物流費高騰分の価格転嫁を進めたことで売上高、営業利益ともに前年同期の実績を上回った。電子材料関連では、世界的な半導体不足により半導体メーカーが高稼働を継続したことから、需要は堅調に推移。売上高は前年同期の実績を上回ったものの、原料の高騰により、営業利益は減益した。トナー関連では、電子部品調達難による顧客の在庫調整の影響を一部で受けたものの、総じて需要は堅調に推移。売上高は前年同期の実績を上回ったが、棚卸資産の評価損、原料の高騰により、営業利益は減益した。

その他の事業部門の売上高は同7・9%増の150億9900万円、営業利益は同27・4%減の4億2200万円。子会社の商事部門等の売上高が前年同期の実績を上回った。

通期については、4月27日に公表した業績予想からの見直しはなく、売上高が前期比10・6%増の4000億円、営業利益を同2・4%増の455億円、経常利益を同3・0%減の480億円、当期純利益を同3・3%増の345億円を見込んでいる。