2022年8月5日

ナガセケムテックス
「RS-IAGシリーズ」開発

3Dプリンタ用ゴム弾性レジン

ナガセケムテックス(本社・大阪市西区、藤井悟社長)は高反発なゴム弾性を持ち、繰り返しの衝撃に強く、細密な3Dプリントデータを再現できる3Dプリンタ用レジン(樹脂)「RS―IAGシリーズ」を開発した。

近年、3Dプリンタを使用したシューズ製造が注目されており、ソール部の設計自由度向上や金型不要のため少量多品種に対応でき、廃棄物が少なくなることなどがメリットとされている。

商業製品は細密なデザインを実現するため、光造形方式(液状の紫外線硬化樹脂に紫外線またはレーザー光線を当てることで造形物を作る3Dプリンタ方式)を採用するケースが増えており、ランニングなどに使用されるスポーツシューズのソール部は程よく反発する弾性と部位ごとに設計されたデザインで走行性能を向上し、足の負担を軽減する製品が各社で開発されている。しかし、スポーツシューズは繰り返し強い衝撃が加わるため、材料の耐久性に課題があり、高反発で強じんな光造形3Dプリンタ用レジンが求められていた。

今回開発されたRS―IAGシリーズは1液性の光造形3Dプリンタ用レジンで、同社の合成・配合技術により、ほかの光造形ゴム弾性レジンと比べ、伸びが大きく、突出した高じん性・高反発性を実現。常温では一年保存できる。強度を保ちながら、軽量化できる複雑な枝分かれの「ラティス構造」も細密に再現でき、足先やかかとなど部位ごとに枝の密度や線径を変化させて反発率を調整し、細密なデザイン再現も可能でシューズの性能を引き出す設計が可能。透明なベース材料のため、各種クリアカラーに仕上げることが可能で、意匠性にも優れる。

同社の3Dプリンタ用レジンは、用途や使用プリンタに合わせた性能カスタマイズが可能で、ユーザーとともに開発を行っていく。研究開発拠点である播磨事業所(兵庫県たつの市)にはオープンラボを開設。ユーザーと共同で最終製品の検討が可能で、中小型~大型の多種多様な3D光造形プリンタや造形物の強度測定装置などの各種物性測定装置を保有しており、印刷から光造形後の洗浄、コーティングなどのプロセスについても検討できる。

RS―IAGシリーズはシューズミッドソールに限らず、自転車やラケットなどのグリップ、サドルクッション等、高反発ゴム弾性が必要となる素材へも展開を想定している。

【RS―IAGシリーズの物性】
▽品番=RS―IAG―376X
▽素材=アクリル―ウレタン系
▽硬度(ショアA)=A63
▽反発弾性率=59%
▽破断伸び=670%
▽引っ張り強度=13MPa
▽引き裂き強度=45 kN/m
▽繰り返し曲げ耐性(60度)=10万回以上
▽ガラス転移温度(DMA)=マイナス51℃