2022年8月25日

ポリプラ・エボニック
バイオディーゼル

分離膜で燃料の不純物除去

ポリプラ・エボニック(金井産社長)は、室町ケミカル(本社・福岡県大牟田市、青木淳一社長)、水光技研(本社・福岡県春日市、新原政喜社長)、健製作所(本社・福岡県朝倉郡筑前町、松原健社長)、RITA(本社・東京都新宿区、北川悌也社長)の4社とバイオディーゼル燃料の精製装置を共同で開発した。西田商運(本社・福岡県糟屋郡新宮町、西田眞壽美社長)協力の下、フィールドテストも実施され、実証評価およびデータ収集に取り組み、新技術の開発が完了。耐溶剤分離膜を用いた不純物の少ない高品質のバイオディーゼル燃料を製造する精製装置を開発(特許出願中)し、来月の上市を予定している。従来の〝蒸留法〟と比べ、エネルギーの消費が少なく環境にも優しい精製法となっている。

国内では化石資源利用の低減やカーボンニュートラル化の観点から、使用済みの食用油を原料とし、バイオディーゼル燃料を製造、軽油の代替品とする事業が数多く存在。この廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料を軽油の代替として車に使用した場合、原料由来からくる遊離脂肪酸や製造過程で発生する遊離グリセリン等の不純物が原因でマフラーが目詰まりする等、多くの不具合が発生しており、問題になっている。その問題の解決方法として、バイオディーゼル燃料の高品質化を目的とした蒸留法により不純物を除去する方法、装置があるが、燃料の蒸留という危険性、製造能力やコストに問題があるため、限定的な採用にとどまっている。

これらの問題を解決するため開発チームを立ち上げ、従来にない画期的な方法で不純物の除去に着手した。バイオディーゼル燃料(パーム油・大豆油・菜種油・ひまわり油等の植物由来の油、藻由来の油もしくは各種廃食油等からエステル交換反応により製造される軽油代替の燃料)は自動車、船舶等軽油の代替として燃焼機関側を変更することなく、軽油と混合もしくはバイオディーゼル燃料100%でも使用可能。バイオディーゼル中の不純物は、バイオディーゼル燃料の製造過程における十分な水洗、分離、脱水を行った後でも残留する未反応物質や遊離脂肪酸等がバイオディーゼル燃料中に残留していると考えられる。また、廃食用油を原料として製造したバイオディーゼル燃料は酸化された遊離脂肪酸が多く含まれ、着色の原因ともなり、不純物としてバイオディーゼル燃料に混入すると考えられる。この課題を耐溶剤分離膜「PURAMEM(ピュラメム)」(エボニックインダストリーズ社の登録商標で、日本販売元はポリプラ・エボニック)を用いた特殊な精製工程を経ることで、不純物の少ない高品質のバイオディーゼル燃料を製造することができる。この精製方法は、バイオディーゼル燃料の精製処理として一般的な蒸留法と比べて、エステル分向上(94%↓99%・不純物除去)により、高品質なバイオディーゼル燃料を製造。蒸留法の収率75%に対し、分離膜法では90%の高収率を実現し、エネルギーコストの低減により、蒸留法と比べて安価な精製処理が可能。分離膜法では、蒸留法のように燃料を高温にする危険性がなく安全といった特長を有しており、精製したバイオディーゼル燃料は、不純物を除去しているため、ほぼ透明。

導入方法についてはバイオディーゼル燃料のサンプル提供を受け、ラボ試験、パイロット試験を経て、実機装置導入を提案。バイオディーゼル燃料の精製装置および製造装置プラントについても提供することが可能としている。