〈2022年12月期第2四半期決算説明会〉
クラレ
大幅な増収増益達成
上期の売上高は過去最高
クラレ(川原仁社長)は8月10日、「決算説明会」を行った。当期の売上高は3580億4000万円(前年同期は3022億9600万円)、営業利益は380億8900万円(同303億9800万円)、経常利益は378億9600万円(同284億9600万円)、四半期純利益は242億700万円(同117億1000万円)となった。「経済環境が回復している状況にあって好調な業績を収め、当期は大幅な増収増益を遂げ、上期での売上高は過去最高を達成することができた。原材料高騰などといった収益圧迫要因にも見舞われたが、価格転嫁などにより健全な収益体制を整えた結果、各利益項目も過去最高水準を確保している」(川原社長)。なお、今期より「収益認識に関する会計基準」などの適用により、各数値については当該会計基準等の適用後の数値となっており、対前年同四半期の増減率は公表されていない。
セグメント別ではビニルアセテートの売上高は1854億4000万円、営業利益は336億1700万円。ポバール樹脂は、米国子会社の一部生産設備の不具合による停止や物流混乱の影響を受け販売量が減少。光学用ポバールフィルムは液晶パネルの在庫調整による影響が懸念されたが、前年同期並みの出荷となった。PVBフィルムは前年同期比で販売量が減少。水溶性ポバールフィルムは、洗濯用および食洗器用個包装洗剤向けの販売が拡大した。EVOH樹脂「エバール」は、好調な食品用途が自動車用途の減少を補い、全体として販売量は増加した。
イソプレンの売上高は319億500万円、営業利益は24億7700万円。イソプレン関連はファインケミカル、エラストマーともに需要は堅調だったものの、一時的な原料調達難の影響を受け販売量が減少した。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は自動車向けで半導体などの部材不足や中国ロックダウンの影響を受け、販売量が減少。電気・電子デバイス向けも販売量が減少した。
機能材料の売上高は777億9100万円、営業利益は33億1100万円。メタクリルは、一時的な原料調達難や中国ロックダウンの影響を受けたことで販売量が減少した。メディカルは欧米を中心に歯科材料の需要がおう盛で、販売が拡大。環境ソリューションは欧州を中心に需要が増え、活性炭の販売が伸長。アクアは中空糸水処理膜の需要が堅調に推移した。
繊維の売上高は317億9500万円、営業利益は37億9500万円。人工皮革「クラリーノ」は、ラグジュアリー用途を中心に販売が堅調。繊維資材は「ベクトラン」が輸出を中心に販売が堅調に推移。生活資材は「クラフレックス」が外食産業の需要が伸び悩んだ。
トレーディングの売上高は297億500万円、営業利益は27億7600万円。繊維関連事業は、スポーツ衣料等が好調に推移した。樹脂・化成品関連事業は、アジア市場で伸びを見せた。
その他事業は国内関連会社の販売が回復し、売上高は236億6800万円、営業利益は12億2100万円となった。
通期については、直近公表の業績予想値を売上高のみ修正。売上高を7400億円(前回予想値6800億円)、営業利益780億円、経常利益750億円、当期純利益450億円を見込んでいる。