2022年9月5日

ブリヂストン
2030年見据えた経営戦略・目標発表

売上収益は5兆円へ規模を拡大

ブリヂストン(石橋秀一Global CEO)は8月31日、オンライン形式によって「2030年を見据えた長期戦略アスピレーション発表会」を開催した。当日は、石橋Global CEO自らが同社において描いている30年のアスピレーション(実現したい姿)について解説。レジリアントな〝エクセレント〟ブリヂストンへの道筋を示した。

骨子はブリヂストンの使命・ビジョン・企業コミットメントおよび2030年長期戦略アスピレーション―Bridgestone3・0 Journey―レジリアントな〝エクセレント〟ブリヂストンの道筋という二つのテーマで、同社は20年に中長期事業戦略構想を発表。その翌年にはその足場を固める中期事業計画(2021―23年)を策定し、変化に対応できる強いブリヂストンを目指してきたが、今年になってその目標が達成できつつあることからロードマップの詳細な見直しを行った。

冒頭、あいさつに立った石橋Global CEOは「20年以降、COVID―19によるパンデミックやCASE、MaaSの加速といったさまざまな変化が巻き起こったが、こうした変化に対して当社ではフレキシブルでアジャイル(俊敏)に対応する経営を身に付け、強いブリヂストンの姿を具現化しようとしている。しかしながら、新たな国際秩序の形成などが沸き起こり、事業環境は一段と激動を極め〝変化が常態化〟しようとしている。この予測不可能な時代において、一段と大きな企業としての発展を期するためには、31年のブリヂストン創立100周年へ向けた道筋を明示する必要があると考えている。30年の〝実現したい姿〟を描く、長期戦略アスピレーションの道筋が示す先には、常態化する変化に動じることなく、ゴムのようにしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアント(弾力性を備えた)なエクセレントブリヂストンへの変革であると考えている。新たな経営体制を構築し、グローバルの経営チームが道筋に沿って、フレキシブルでアジャイルに〝軸をブラさない経営〟を推進していく」と、今後に向けての意気込みを述べた。

長期戦略アスピレーションを構成する道筋として3つの軸を設定。一つ目は社会価値と顧客価値創造の両立、新たな競争優位を獲得し、レジリアントなエクセレントブリヂストンとして、企業価値を向上させる。2つ目は創立100周年・次のステップを目指し、3つ目がVUCAを生き抜く、レジリアントな企業へと成長を果たす。新たな経営体制については、グローバル戦略を軸に、地域・市場特性に合わせたローカル戦略によるグローカル経営を基本姿勢として設定。次の24年中期事業計画(24中計)には4事業ポートフォリオを組み合わせた新グローカル&ポートフォリオ経営へと進化させる。30年を第三の創業の第1ステップ完了年と設定し、新たな経営体制でレジリアントなエクセレントブリヂストンへと歩みを進める。

4つの事業ポートフォリオについては、プレミアムタイヤ、小売サービスソリューション事業を中心とした乗用車系事業ポートフォリオ。同社グループが歴史的に強みを持った効果的なタイヤの使用法、車両の運行を提案するタイヤセントリックソリューション、モビリティソリューション事業を含めた、トラック・バス系事業ポートフォリオ。高い技術力と総合力を備えたタイヤメーカーにしかできない鉱山車両・航空機用タイヤで、顧客のオペレーションを支えるスペシャリティタイヤ系事業ポートフォリオ。同社グループのコアコンピダンスが生かされる領域にフォーカスした化工品・多様化、探索事業ポートフォリオの4つの領域で、それぞれの特性に合わせて新たな価値を創造していく。

プレミアムタイヤ事業はプレミアム化、ソリューション事業連動への布石を打っており、成長に向けた基盤を構築。24中計以降は、トラック・バスタイヤのENLITNビジネス戦略、鉱山車両用、ORタイヤのMasterCoreを中核とした新なプレミアムの創造に向けて一段と力を注いでいく。24中計でのテーマは〝本数から価値へ〟で、プレミアムタイヤ事業にフォーカスする体制の構築を完了させる。第2ステージの27中期事業計画では、ソリューション事業、ネットワークを生かしてプレミアムタイヤ事業を一段と強化。価値を増幅し、新たなプレミアムタイヤ事業ポートフォリオ経営を強化させていく。トラック・バスや、ORなどの生産財においては、歴史的に同社が強みを持った領域として、顧客の信頼を一段と大きく獲得する新たなプレミアムの基盤構築を推進。

2030年に実現させたい姿のKGI(重要目標達成指標)については、売上収益は22年の4兆円レベルから5兆円強レベルへと規模を拡大。内容については、タイヤはプレミアムにフォーカス・強化し、ソリューション事業の売り上げを約2倍の2兆円レベルにもっていく。調整後営業利益についても、22年の2倍弱を目指し、8200億円レベルにまで押し上げ、〝稼ぐ力〟を拡大させる。利益率については15%強レベルで、ROIC12%、ROE13%レベルへとビジネスの質を強化させる。いずれもグローバルレベルで、新たに人的創造性の導入も試行。24年からの次期中期事業計画において、正式に導入していく予定。

サステナビリティについては、これまで以上に強化。30年のターゲットであるCO2排出量を11年度比で50%削減し、50年にカーボンニュートラル化を達成させる。サーキュラーエコノミーについては、30年に再生資源・再生可能資源比率40%、50年には100%サステナブルマテリアル化を果たす。