【トップインタビュー2022】ゲイツ・ユニッタ・アジア
萩原豊浩副社長
新分野、業界へ参入模索
地域の市場動向ち密にくみ上げ
【今期(2022年12月決算)の現在までの状況は】
上半期(1―6月)については、昨年同期と比べて厳しい事業環境に置かれたことで伸び悩んだものの、7月以降は回復に転じており、下半期で取り戻せると見込んでいる。上半期は中国政府のゼロコロナ政策によるロックダウンで当社の現地サプライヤーが影響を受けた。4~5月が低迷期で不振にあえいだが、6~7月に上向いてきたことで業績を取り戻しつつある。通期の見通しについては、前期実績には届かないものの、同様の水準にまでは持っていけるものと見ている。
【各地域の市況と取り組みについて】
市況が低迷していたインドは好調を取り戻してきた。アセアン市場では前期並みを見込んでいる。韓国は大手自動車メーカーの生産が部分的に止まっていた時期もあったことで、非常に厳しい状況となっている。現地の自動車部品メーカーの部品調達が滞った事態に端を発したもので、自動車の生産が止まっていたことで、当社の現地での業績も大きな影響を受けた。韓国だけでなく、世界レベルで見ても半導体不足の影響など、サプライチェーンの問題が、好不調の大きなファクターを占めており、自動車生産の動向が部品サプライヤーの業績の浮沈の大きなカギを握っている。中国においては、現地法人が顧客向け在庫を持っていたことから、サプライチェーンの混乱による影響は抑えられ、自動車の生産も何とか維持されたことで、当社製品の新車用組み込み部品需要にも影響が少なかった。日本市場においては、一般産業向けが、半導体製造装置業界の活況もあって堅調に推移している。
【自動車のEV化の流れによる影響は】
当社の自動車分野におけるビジネスは、内燃機関の駆動が中心となっており、EVによる電動化によってエンジンが搭載されなくなる状況は重大な問題としてとらえている。ただしこの流れは、カーボンニュートラルを目的としたパラダイムシフトであり、その観点で見れば水素エンジンなどといった選択肢も残されており、電気だけでなく、新たな燃料を動力源とする自動車が浮上することで、内燃機関が残る可能性は残されている。水素エンジンは、ガソリンを使用していた従来のエンジンと同様に、内燃機関で水素を燃焼させることによって動力を得るシステムで、水素内燃機関は従来とほぼ同様の構造となっている。
【今後の展望と今期の見通しは】
動力を伝える手法としては、チェーンに対してベルト伝動の方が効率性に優れ、クリーンで静粛性が高いというメリットを備えている。インドはモビリティのEV化が進んでいるが、同時にこういったメリットが認められたことで、動力伝達において、チェーンからベルトへの置き換えが進んでいる。顧客のニーズに応じて新たに製品をカスタマイズして供給する体制を現在でもとっているが、これからの発展に向けた筋道としては、新しい製品によって事業拡大を目指すよりも、カスタマイズの技術を駆使し、駆動というシステムに対して、既存のチェーンからベルトへと置き換えていく方向性で、新分野や新たな業界への参入を模索し、ベルトのシェアを上げていくことで事業の拡大を図っていく戦略が有効であると考えている。
今後の事業体制については、業績の好調なインドにおいては、現地での内製化を推し進め、販売ネットワークの充実を図ることで、クイックデリバリーの強みを持たせて市場競争力の強化を図る。中国においてはディーラー網を拡大するとともに、SNS等を駆使して既存の顧客との距離感を一段と縮める。各地域の市場動向をち密にくみ上げて、各地域の商品ラインアップに反映させることによって拡販を図る。日本においては、半導体製造装置向けが好調ながら、工作機械やロボットに向けた拡販については、今後の展開によって着実に成果を上げていく。通期については計画を若干下回る見通しながら、業績向上に向けて全力で取り組む。