【トップインタビュー2022】西部工業用ゴム製品卸商業組合
小島孝彦理事長
活動継続へ向け新手法見いだす
新たなビジネスの機会の創出を
【新理事長として業界を取り巻く環境を俯かんした感想は】
今期の役員改選で理事長としての責務を仰せつかり、組合としての責務を果たすための取りまとめ役となった。これまで長年にわたって副理事長として組合運営のかじ取りの一端を担ってきたが、長きにわたって歴史や伝統を培ってきた企業が数多く所属している組合の歴史は、関西のゴム商業界の足跡でもある。当社においても、父や祖父が当組合や大阪ゴム商業会の役員を務めさせてもらっているが、理事長として新たな時代の奔流と対峙する局面に立たされたとしても、これまでの副理事長としての経験やノウハウを発揮しながら、先達の姿勢にならっていこうと考えている。
業界全体を見渡した市況としては、業界全体が複雑で困難な状況にあると思う。組合員個々が携わっている需要業界や業域によっても内情に違いがあるが、関西の商業者においては、グッドファクターとバッドファクターによって明暗が分かれており、グッドファクターに恵まれた業種は半導体製造業を代表する成長領域の業種に携わっている企業であり、おおむね上向く流れに乗っている。バッドファクターに苦しめられている業種としては、半導体不足などによって需要業界が生産調整などの局面に置かれている分野や、中国における上海のロックダウンの影響によるダメージを受けた業種であり、こういった逆風に見舞われた企業は、事態の打開に向けて懸命に努力している。しかしながら、いずれのファクターの下で業務を行っている商業者にとっても、原材料や搬送費の値上げといった深刻なコストアップ問題を抱えているという状況は同じであり、商業者にとっての命題として取り組んでいかなければならない。打開策としては、値上げの実施が不可欠ながら、その姿勢次第で得られる成果は大きく違う。値上げが社会的ムードとなりつつあるものの、双方にとっても苦渋の決断であり、こちらが誠意を持って接することで、むしろ会社にとってのイメージアップにつなげることができる。
【西部工業用ゴム製品卸商業組合の魅力についてのお考えは】
組合員の企業内における代替わりも進んでおり、最近でも世代交代が順当に行われている。それが数代にわたって脈々と受け継がれてきており、こうした流れによって育まれてきた組合員同士の連帯感が大きな魅力の一つであると思う。企業レベルでは思い切った決断が難しい案件であっても、そういった関係性の下で、組合全体として判断し、活動していくことによって業界の発展につなげていくことができると考えている。
【組織としての責務と課題について】
具体的には、ベテラン組合員から受け継がれてきた団体としての根幹の蓄積と、過去から積み上げてきた活動を受け継いでいくという状況の創出が重要な責務であると考えている。われわれを導いてくれたベテラン組合員にならって、今度はわれわれが次世代につないでいく継承という課題をこなしていく。ただし責務として粛々と実行に移すのではなく、時代に応じた団体としての新たな知見や応用を積み重ねながら、成長に向けての道筋を開いていくことも忘れてはならない。
最近では、コロナ禍に見舞われたことで、組合が取り行ってきた大半の活動が中止に追い込まれたが、活動の実施に向けた方策をあらゆる面から模索した結果、組合としての活動の継続に向けた新たな手法を改めて見いだすことができた。逆説的に見れば、DX(デジタルトランスメーションの)という新たな分野を、たぐり寄せる機会が与えられた。会場を設け、組合員同士が当たり前のように顔を合わせて実施されてきた組合事業の開催の道が閉ざされたことによって、ウェブ配信などを駆使して、組合活動を実施する方策が選択に加わった。当然のことながら、当初は失敗もあったが、回数を重ねることで徐々に浸透し、ノウハウの幅を広げることができるはずである。新たな取り組みによって得られた成果もあり、商品説明会などは、大阪だけでなく関西の他の地区からの参加者も増えており、距離がネックとなって参加を断念していた組合員にも新たな参加への道を開くことができた。
こうしてデジタルツールを利用した活動が選択肢に織り込まれたものの、可能である限りは実際に会場で顔を合わせて組合行事を開催したい。フェイス・トゥ・フェイスは重要であると考えており、実際に一堂に集まることで親近感の度合いも深まる。
【新しいチャレンジと今後の展開については】
大阪ゴム商業会との合併に向けては、いろいろな意見を参考にしながら活動形態を含めて具体的に詰めていく。組合活動についての構想はいくつかあるが、勉強会や研修会、講演会については講師を招いて話を聞かせてもらい、ご教示を仰ぐことによって、業界内外における世界観の視野を広げるとともに仕事上のスキルを高めてきた。こうした従来からの取り組みに加え、知識のポートフォリオを少しでも数多く設ける意味から、われわれ組合員個々での付き合いのネットワークの中から、新しい分野や取り組みを行っているリーダーを講師に招き、講演会などを通じて接点を持つことによって、新時代を見据えた新たなビジネスの機会を作ることができないかと考えている。過去にも実施した実績があり、非常に好評であったことから定例化に向けて進めていきたい。業界を取り巻く環境は非常に厳しいが、値上げなどの問題に対しては組合が一丸となって取り組み、新しい体制の下でフレッシュな新しいムードを呼び込んでいきたい。