〈トラック・バス用タイヤの技能競技会〉
住友ゴム工業
実地と筆記の両面で
T3認定の精鋭が実力試す
住友ゴム工業(山本悟社長)は9月7日、「第12回DTS(ダンロップタイヤショップ)全国TBタイヤ作業コンテスト」を開催した。実技と筆記の両方の種目で競われ、実技については神戸市中央区の神戸国際展示場、筆記については、近隣のアリストンホテル神戸において実地作業と知識の両面からプロフェッショナルとしての実力が確かめられた。審査員には、同社のタイヤ国内リプレイス営業本部の3人、販売会社サービスにおけるトレーナー10人、さらに前回(第11回)、前々回(第10回)のコンテスト優勝者である2人を加えた15人が担当。今回も、安全・確実・効率的な作業の徹底、作業の標準化を図ると同時に、作業従事者の安全確保と作業レベルの向上・モチベーションアップ、作業技術の伝承と浸透を目的に実施された。
コンテストへの参加資格は、同社基準のTBタイヤ作業技術レベル〝T3〟認定者であり、エリア予選による選出スタッフが取得、このT3認定を受けるための試験は年1回行われている。受験資格は販売会社においては、作業の技術リーダーであるサービストレーナーが、一定の作業技術を満たしているとの判断で決定、DTS加盟店では、販売会社が行う作業研修を受講しているスタッフが条件となって与えられる。作業のマニュアル遵守力と素早さ、優れた作業指導力の証明であり、合格率は70%前後でしかなく、昨年は58人、今年は72人が合格し、T3認定者となっている。現在の認定保有者(22年8月現在)で総数415人(ダンロップタイヤ販売会社365人、DTS加盟店50人)。
今回は、販売会社から9人、DTS加盟店から3人の参加者が神戸に集合、日ごろの業務で培った腕を振るった。実技審査テーマとして〝日常の作業で発生しうるヒューマンエラーの撲滅を目指す〟を設定。作業時不備要因として、作業のイレギュラー発生によるヌケモレ防止に焦点を当て、作業中における作業者交代による申し送りにおいて、「作業の確実な引き継ぎができるか」、本締め作業中の顧客対応として「ナット締め忘れ防止策を施したか」、他のタイヤ/ホイールの点検においては「不具合発見ができるか」について検証した。保守管理要因については、ナットの増し締め実施促進に視点を当て、報告時のナット増し締め案内において「増し締め再来店の促進が上手か」についても評価の対象にされた。
筆記試験では、60分間に91の設問に解答。審査項目は商品知識(タイヤの構造、タイヤの特性、タイヤ損傷判定知識、タイヤの使用知識)について50問。作業知識(空気充てん知識、車輪脱落事故防止関連)32問、業界時事問題9問が出題された。
TBタイヤ作業コンテスト史上初の試みとして、ダンロップタイヤ販売会社、出場先DTS加盟店に対するオンラインライブ配信も実施。コンテストを通じ、出場者の作業レベルを共有することによって、安全作業をセールス活動のサービス訴求へつなげていく。
今回の優勝者は、ダンロップタイヤ中部の尾崎敬介氏で、評価ポイントとしては作業力においては、全体的にも無駄な動きがなく、スムーズで一つひとつが安全、丁寧、確実な作業が高評価につながった。声掛けをしながら作業途中の車両状況確認およびジャッキアップポイントの安全確認を実施していた安全性重視の姿勢も高得点。接客力では、ナットインジケーターの役割やさびによるナット緩みの原因、点検チラシを活用して再来店を促し、確約にまで至った分かりやすい説明が審査員の心をとらえた。
尾崎氏は「今年、T3検定に合格した中でこのコンテストに出場することが決まった時、自分自身に自信を持つ良い機会だととらえた。ダンロップタイヤ中部の方々に、結果で感謝の気持ちを伝えたいと思い、毎日練習に励んだ。この優勝をきっかけに、これからは若手社員へTB作業の基本を伝えていき、作業力の底上げをしていきたい」と喜びの気持ちを言葉に表していた。