2022年11月5日

BASF
材料の資源循環に成功

マスバランス方式で

BASF(マーティン・ブルーダーミュラー会長)は、メルセデス・ベンツ(オラ・ケレニウスCEO)、Pyrum Innovations(パイラム・イノベーションズ、パスカル・クラインCEO、以下、Pyrum)およびWITTE Automotive(ヴィッテ・オートモーティブ、以下、WITTE)は材料の資源を循環させ、マスバランス方式のプラスチックから自動車部品を製造することに成功した。

廃タイヤ由来の熱分解油や有機廃棄物から生成したバイオメタンは、化石原料の代替としてバージン材同等の特性を持つプラスチックを製造することが可能。BASFは、メルセデス・ベンツの一部モデルのドアハンドル用プラスチックを製造する目的から、Pyrumで廃タイヤから生成した熱分解油と、農業廃棄物および食品残渣からのバイオメタンを代替原料として、マスバランス方式で組み合わせた。その結果、生まれた30%ガラス繊維強化の「Ultramid(ウルトラミッド)」ポリアミド6は、最高品質のプラスチックと同じ特性を備えており、要求の厳しい自動車部品に理想的な材料となっている。

効率的なサーキュラーエコノミー(循環型経済)に沿って、今年はメルセデス・ベンツSクラスとEQEのドアハンドルにマスバランス方式の製品が採用される予定。REDcert2(REDサート2=欧州可能エネルギー指令〝RED〟に基づく欧州全体で適応される品質認証)スキームに従った独立認証により、最終製品の化石原料の代替として必要な、熱分解油とバイオメタンの量が認証される。これらの認証済みの原材料がBASFの生産ネットワークに投入され、マスバランス・アプローチにより数学的にプラスチックに割り当てられ、BASFの顧客であるWITTEに届けられる。自動車部品メーカーでのドアハンドルの生産も、REDサート2基準に基づき、同様の方法で外部監査が行われる。

共同開発ソリューションのアプローチは、メルセデス・ベンツSクラス用のクラッシュアブソーバーにも転用される予定。車両のフロントエンドの部品として、クラッシュアブソーバーは、前面衝突の際に相手車両に作用する力を均一に減少させる役割を担うが、ここでも、BASFの熱分解油とバイオメタンをベースにしたマスバランス方式のプラスチック化合物が、メルセデス・ベンツの高い品質要件、特に衝突安全性に関する要件を満たしている。

プラスチックの製造、使用、リサイクルを改善することで、関係企業はそれぞれのサステナビリティ目標に一歩近づくことができる。

今回のプロジェクトのパートナー企業は、共同開発したソリューションが評価され、10月5日にベルリンで開催された「2022 MATERIALICA Design+Technology Awards」のマテリアル部門の受賞者に選ばれた。審査員は、サステナビリティに取り組むためには、バリューチェーンに沿った連携が不可欠であることを強調した。

今回のパートナーシップによるアプローチは、ドイツのデュッセルドルフで開催された「K2022」で、展示とともに専門家による講演で紹介された。双方向のタッチスクリーンアプリによって、完全な材料サイクルと潜在的な節約が展示で示された。