2022年11月15日

日本ゴム工業会
「第27回幹事会」開催

厳しい事業環境示唆
原材料価格上昇等が影響

日本ゴム工業会(清水隆史会長)は10月28日、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルにおいて「第27回幹事会」を開催した。各委員会による業界環境・事業報告が行われたほか、資料報告も実施。最近の資材動向(1ー10月)報告では、原油・ナフサ価格の動きを踏まえながら主要原材料の価格高騰状況を日銀企業物価指数および企業向けサービス価格指数の年間平均値の推移で明示。2022年は21年比で全品目・サービスの指数が上昇しており、メーカーを取り巻く厳しい事業環境が示唆された。

冒頭、清水会長のあいさつが行われた後、報告事項のスケジュールに移行。国産ナフサ価格は、20年平均で㌔㍑当たり3万2800円であったものが、21年度では5万100円、22年は7万7900円となり、前年同期比2万7800円の上昇となっている。今後、第3四半期(10ー12月)と見通しとしては、現在の勢いから見て8万3000円程度にまで高騰するものと予測している。主要原材料における価格高騰状況を日銀企業物価指数および企業向けサービス価格指数(企業間で取り引きされるサービスに焦点を当てた物価指数)の年間平均値の推移で見ると、20年の指数を100とした基準に対して、天然ゴムは21年に133・1、22年になると158・4へと1・5倍以上に上昇。合成ゴムは、21年で119・6、22年においては145・2へと天然ゴムに近い上昇角度で推移している。企業向けサービス価格指数で見ると、やはりナフサ(国内価格)の上昇率が著しく、21年で既に154・1で1・5倍以上、22年には242・5にまで跳ね上がり、一気に2倍超えとなっている。ブタン・ブチレン・ブタジエンも21年で133・8、22年では199・8と約1・5倍にまで上昇。スチレンモノマーは21年で158・7、22年になると220・6となり、まさに重油と連動した値動きとなっている。ユーティリティーに目を向けると電力費は21年が100・1とほぼ値動きがなかったのに対し、22年は125・1へと上昇、企業が供給を受けている高圧区分(特別高圧区分)の電気料金については、20年度は落ち着いていたが、21年度以降は燃料費調整額(火力発電の天然ガス、石炭、原油の相場価格)が急上昇した影響を受けた。都市ガス(天然ガス)については21年においては100・2とわずかな値上げにとどまっていたが、22年度には155・6と1・5倍以上へと大幅に上昇。日本の電力は、約76%が火力、約20%が再生可能エネルギー、原子量約4%で賄われており、火力発電に使用される原料は約半数が天然ガスであることから、特に今後の天然ガスの供給状況はひっ迫するものと予測されており、その他の燃料も値上がりが続くものと見られていることから、電力費の高騰は一段と加速するものと見られている。道路貨物輸送については(この項目のみ15年度を基準値100と設定)、20年度で110・5、21年度110・8、22年においては111・1となっており、約1割増の水準で高止まりしている。

会員企業の経営指数動向(2021年度)については、自動車タイヤ(4社)の売上高は前期比19・6%増の1兆9064億円、経常利益が同125・6%増の3896億円、工業用品(43社)の売上高が同8・7%増の1兆563億円、経常利益は同46・3%増の828億円、履物(4社)の売上高は同5・4%増の366億円、経常利益は同36・9%増の8億円、その他(24社)の売上高が同0・9%増の4160億円、経常利益が同38・2%増の282億円。売上高に占める人件費の比率は、平均値が前期比1・5㌽減の16・1%、業種別では、自動車タイヤが同1・7㌽減の14・6%、工業用品が同1・4㌽減の19・7%、履物が同0・5㌽減の15・4%、その他が同0・3㌽減の14・1%。

同会が推進している「カーボンニュートラル行動計画」のフォローアップ調査結果については、目標としている〝2030年度のCO2排出量を13年度に対して46%削減する〟取り組みについては、国内生産活動における21年度の削減値は、前年度の大幅な減少(新型コロナウイルス感染拡大による影響)から回復し、122万7000㌧(前年度比116・5%、基準年度比88・5%)となったが、取り組みを進めたことで、生産量の前年度比173万7000㌧増に対してCO2排出量は4・8%増にとどまっており、生産増に対するCO2排出量の増加は大幅に削減されている。現在は目標として掲げる13年度排出比46%減に対して、29・4%減にまで成果を高めている。

中小企業における景況感は厳しいものがあり、22年の残りの事業期間の見通しについても売上高、経常利益ともに厳しく見ており、従業員数も不足気味となっている。経営上の問題点としては、原材料価格の上昇が45・3%(前期は46・2%)と最も多く、次いで需要の停滞15・2%(同14・7%)、従業員の確保難7・7%(同6・4%)、生産設備の不足・老朽化6・7%(7・4%)、製品ニーズの変化への対応が4・4%(同5・3%)と続いている。