2023年1月10日

新年トップインタビュー
三ツ星ベルト

ESG経営を重視
資本効率の向上にも努める

【2022年を振り返って】
昨年も新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが、経済も動き出し、当社も9月から在宅勤務の目標設定を解除し、出張も徐々に増えている。コロナ禍でウェブを通じた業務も機能しており、新たに取り入れた業務手法をうまく使いこなしながら事業を運営していく。昨年11月、「グローバル・カイゼン会議」と、「QCサークル大会」をシンガポールで開催し、提案活動、QCサークル活動の代表事例が発表された。ようやく日本からの出張が叶ったことで、現場において実際に報告を聞くことができ、有意義な発表会となった。

【当面の成長戦略については】
2023年は、引き続きESG経営によって企業としての成長を図る。品質面に対する自信には揺るぎないものがあるが、研究開発の積み重ねや技術力の一層の向上を図り、スピードを上げながらさらなるレベルアップを図る。また、高機能、高精密、高品質な製品を提供するために、生産ラインの機能充実や強化に取り組み、新しい生産システムの構築にも力を注ぐ。コスト競争力の強化に向けては、東南アジアなどの廉価品にも対抗するため、原価低減活動を徹底し、生産再編プロジェクトによって各国の生産拠点における生産品目を見直し、世界最適生産体制の確立を図る。生産、販売、物流体制の強化を図る目的から、立地面の優位性、効率性を重視し、国内外を問わず拠点の再整備を実施する。人材育成も重点項目の一つととらえており、当社の研修センターと、昨年新たにデータとデジタル技術を活用する目的で設置したDX推進室とで教育プログラムなどの構築を推し進める。さまざまな能力開発プログラムを用意し、階層ごとに成長を果たすことができる体制も整備する。

【新規・重点事業の開拓に向けては】
当社では自動車部品、一般産業用部品、搬送製品、樹脂製品、建設資材の各分野における一層の拡販を図り、新たな事業を育成し、2030年に売上高1000億円を目指している。建設資材では、防水シート分野以外での事業拡大も進める。また、電子材料については、さまざまな案件に対応できる技術データを数多く蓄積しており、幅広い分野で採用実績を伸ばしていきたい。発泡射出(SF=Structual Foam)成形品も期待の製品分野で、厚肉成形品の軽量化を図ることができ、強度や寸法安定性など、多くの優位性を備えていることから、今後の拡販が期待される。既に、医療用機器などで採用が進んでいる。部品管理Webアプリケーションサービス「Tailor―note」についても、ユーザーのニーズを掘り起こしながら、幅広い業種に提案していくことで業務の拡大を図っていきたい。大型農業機械用ベルトについては、欧州市場で実績を伸ばしつつあり、米国市場でも拡販活動も進めている。

【今後の展開と展望、施策について】
自動車産業のEV化への流れに対しては、当社にとってはチャンスとしてとらえており、電動パワーステアリング、電動スライドドア向け製品などの開発、拡販に力を入れて取り組んでいく。二輪車の電動化についても、後輪駆動の駆動部品をチェーンからベルトに置き換えることで売り上げを伸ばしていく。ESG経営においては、カーボンニュートラルへの取り組みは必須であり、昨年4月にサステナビリティ推進委員会および推進室を設置した。カーボンニュートラルに関しては、削減目標値を設定して推し進めており、具体的な取り組みが進んでいる。社内体制においては、DX推進室を設けて業務のデジタル化を推し進めているが、AIやIoTを効果的に活用し、データサイエンティストを育て上げる必要がある。

今後の事業を進めるにあたって、当社では以前から財務体質の強化に取り組んできたが、資本効率の向上にも努めていく。一方でESG経営を重視する姿勢は変わらない。昨年を象徴する漢字として〝革〟という一文字を選んだ。変革、改革を遂げて、新たに生まれ変わろうとする当社の状況を表している。