グッドイヤー
サステナブル素材90%のタイヤ発表
70%タイヤは量産・販売を予定
ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(以下、グッドイヤー)は1月4日、サステナブル素材90%のデモタイヤを発表した。このデモタイヤはグッドイヤーの社内テストとともに、公道走行を可能にするために適用されるすべての規制テストに合格している。
従来の素材で作られた比較用タイヤと比べても、転がり抵抗が低いことをテストによって証明。デモタイヤがより優れた燃費と、二酸化炭素排出量の削減をもたらす可能性を示している。グッドイヤーは昨年1月にサステナブル素材70%のタイヤ開発の成功を発表したが本年、その素材の供給拠点との連携を強化し、量産および販売を開始する予定。
タイヤのコンパウンド補強や寿命向上に向けて配合されるカーボンブラックにおいては従来、さまざまな石油製品を燃焼させて製造。グッドイヤーのサステナブル素材90%のデモタイヤは、メタン、二酸化炭素、植物由来の油、使用済みタイヤの熱分解油原料から作られる4種類のカーボンブラックを用いている。これらカーボンブラック技術は、炭素排出量削減、循環性の向上およびバイオベースの炭素を使用しながらも一定の性能を発揮することを目標にしている。
このデモタイヤに使用されている大豆油は、極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性維持に貢献。大豆油はバイオベースの資源であり、グッドイヤーの石油系製品の使用量を削減する。大豆タンパク質のほぼ100%が食品や動物飼料用途に使用されているが、多くの余剰油が発生することから、産業用途に使用できる。
シリカはタイヤ製造に頻繁に用いられている成分で、グリップ力の向上や燃費低減に効果を発揮。米殻の加工時に出る副産物で、廃棄され埋め立てられることが多い籾殻廃棄物残さ(RHAシリカ)から生成された高品質のシリカが含まれている。ポリエステルは、ペットボトルやその他プラスチック製品の廃棄物を基材に戻し、タイヤコードに使用可能な工業用クラスのポリエステルに改質することでリサイクル品として使用。タイヤのトラクション性能を改善および強化する目的で使用される樹脂については、従来は石油ベースであったものを、デモタイヤでは、再生可能な松の木の樹脂が使われている。
ラジアル構造のタイヤにおいて、強度を補強する役割を果たすビードワイヤーとスチールコードは、電気アーク炉(EAF)プロセスを使用して製造された高リサイクル率の鋼のビードワイヤーとスチールコードを使用。EAFプロセスを利用することで、エネルギー使用量を削減し、リサイクル含有量を高めて鋼を生産することが可能となる。EAFプロセスは、高炉を使用して生産された鋼と比べて、温室効果ガス排出量が少ない可能性を備えている。
このデモタイヤには、国際持続可能性カーボン認証を受けたバイオおよびバイオ循環原料からのマスバランスポリマーも含まれている。