2023年2月20日

アシックス
2022年12月期決算説明会

売上高、営業利益は過去最高

アシックス(廣田康人社長)は2月10日、オンラインを通じて「2022年12月期決算説明会」を開催した。それによると売上高は前期比19・9%増の4846億100万円、売上総利益は同20・4%増の2407億600万円、営業利益は同54・9%増の340億200万円、経常利益は同39・5%増の309億1300万円、当期純利益は同111・5%増の198億8700万円となり、大幅な増収増益となった。売上高、営業利益は過去最高を更新し、これに伴い、年間配当額も1株当たり40円と過去最高を計画している。好決算を受けて廣田社長は「コロナ禍などによる厳しい市場環境にあって、売上高、営業利益において過去最高を達成できたことは大変うれしい。従業員の努力による成果であり、企業として着実に成長している。今期(23年12月期)は中期経営計画の最終年度であり、機動的な事業の取り組みによってさらに高見を目指す。まだまだ伸び代はあると見ており、今後も過去最高を更新し続けることで〝皆さんのわくわく〟につなげていきたい」と述べた。為替影響に加え、全カテゴリーが好調に推移したことで売上高が大きく伸長。特に当期純利益については、感染症の影響による特別損失計上額が減少したことで3ケタの伸びとなった。

カテゴリー別の状況は、パフォーマンスランニングの売上高は前期比24・0%増の2582億7200万円、カテゴリー利益は同15・4%増の491億8100万円。期初計画も超過しており、日本地域を除くすべての地域で好調に推移している。特に、第4四半期期間の3カ月間の売上高は50%の成長を遂げた。収益面は物流費などの製造関連コストが大幅に上昇したことから、粗利率は47・9%へと後退したものの、今後は高粗利率商品への注力や販売価格の適正化などにより改善を図る。トップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED」シリーズが躍進を継続。年末年始に開催された各駅伝大会におけるシェアは、前年比で拡大しており、引き続き各地におけるランニングシューズシェアの拡大を図ることで、〝ランニングでNo.1〟を目指す。「一定の成果は上がっているが、途中経過であり、トップアスリート向けに一段と高性能を搭載した製品を打ち出すなど力を入れる。われわれの目標は頂点であり、こんなものではない」(廣田社長)。

コアパフォーマンススポーツの売上高は同31・0%増の541億5500万円、カテゴリー利益は同88・7%増の94億8900万円。全地域で好調に推移し、期初計画も超過。特に第4四半期期間の3カ月間の売上高、カテゴリー利益ともに大幅な増収増益を遂げており、カテゴリー利益は前期比、当初計画比ともに大幅に上回っている。北米において22年にシェアナンバーワンとなったテニスや、米欧で好調なインドア、日本を中心としたワーキングに力を注ぎ、シェア拡大を図る。契約選手や主要国際大会と連動したワーキング活動や商品訴求を継続的に実施していく。

スポーツスタイルの売上高は同30・7%増の434億6600万円、カテゴリー利益は同49・1%増の64億2500万円。全地域で好調に推移し、期初計画も超過。特に第4四半期期間の3カ月間の売上高は前期比79・1%増と大幅に伸びた。世界的な影響力を持ったライフスタイルメディアであるHYPEBEASTにより22年のベスト・フットウェア・ブランドに選ばれた実績を背景に、23年はグローバルでの売り上げ拡大やブランド価値の向上を図る。

アパレル・エクィップメントの売上高は同3・4%増の352億7800万円、カテゴリー損益については販売費および一般管理費の増加などにより、16億4500万円の損失となった。売上高は特に日本と北米におけるマイナス分が影響しており、第4四半期期間の3カ月間の売上高も減収。23年は中期経営計画の最終年度としてランニング・トレーニングに経営資源を投入し、確実に黒字化を達成する。

オニツカタイガーの売上高は同11・6%増の430億1100万円、カテゴリー利益は同49・1%増の73億9900万円。上海などでの感染症による行動規制の影響で中華圏地域が減収となったものの、日本地域や東南・南アジア地域で好調に推移した。第4四半期期間の3カ月間の売上高は約37%増加、日本でのインバウンド売り上げが急回復(コロナ前の約80%にまで回復)した。収益面は売り上げの増加に加え、DTCシェア拡大に伴う粗利率の向上により増益した。ミラノファッションショーでの発表やデジタルツールを活用したマーケティング活動により、ブランド認知および価値向上に努める。

エリアセグメント別では、日本地域の売上高は前期比12・3%増の1234億200万円、セグメント利益は同406・6%増の60億4600万円。コアパフォーマンススポーツやオニツカタイガーの好調により増収、大幅増益。北米地域の売上高は同22・2%増の1053億3100万円、セグメント利益は同96・9%減の2600万円。パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツの好調や為替影響により増収したが、ECの売り上げ増加に伴う販売費および一般管理費の増加などが収益を大きく圧迫した。欧州地域の売上高は同22・0%増の1300億9900万円、セグメント利益は同3・4%増の112億5400万円。中華圏地域の売上高は同18・7%増の624億1100万円、セグメント利益が同10・1%増の100億6700万円。両地域ともパフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調に推移した。オセアニア地域の売上高は同34・5%増の332億9200万円、セグメント利益は同55・7%増の52億1100万円。東南・南アジア地域の売上高は同69・2%増の184億4800万円、セグメント利益は同209・5%増の29億8400万円。両地域ともすべてのカテゴリーが好調だったことで増収、売り上げの伸びに加え、粗利益率の改善なども寄与した。その他地域の売上高は同24・2%増の436億3000万円、セグメント利益は同102・9%増の36億4600万円。パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調に推移した。

通期については、売上高を前期比5・2%増の5100億円、営業利益を同8・8%増の370億円、経常利益を同3・5%増の320億円、当期純利益を同0・6%増の200億円を見込む。