2023年2月20日

長瀬産業
高バイオマス度SAP

共同で開発に成功

長瀬産業(朝倉研二社長)は、NAGASEグループの中核製造会社であるナガセケムテックス(本社・大阪市西区、藤井悟社長)、林原(本社・岡山市北区、安場直樹社長)と共同で、従来品と同等以上の吸水性能を備えながら、バイオ由来原料の比率を高めた高バイオマス度の高吸水性ポリマー(SAP)の開発に成功したと発表した。2025年度以降の上市を目指し、今後は量産技術の確立と生産体制の構築に取り組む。ナガセケムテックスが製造を手掛け、長瀬産業が国内外に向けて販売する。

SAPは高い吸水性能を備えた高分子材料で、紙おむつを中心にナプキンなどの衛生用品や、農業、緑化分野や化粧品など幅広い分野で使用されている。従来品はアクリル酸を主原料としたポリアクリル酸系のSAPが主流であり、石油由来で非生分解性であることから、環境負荷が大きいという課題があった。こうした状況にあって、環境負荷の少ない天然由来で生分解性を備えたSAPとして、天然高分子であるでんぷんやセルロースなどの多糖類を主原料としたSAPの研究開発が行われてきたが、十分な吸水性能が得られず、最終製品としての活用は難しいとされていた。

NAGASEグループは、でんぷん構造を酵素変換することによって吸水特性が大きく変化する特性に着目。林原が有する酵素技術と、ナガセケムテックスの樹脂製造技術を掛け合わせ、でんぷんを主原料としながらも、SAPとしての吸水性能を最大限に引き出すことに成功した。

新たに開発されたSAPは、バイオ由来・生分解性による環境負荷低減に貢献、環境対応製品の開発に注力する企業や自治体などに向けた販売を想定している。今後は、新たなサステナブル市場の創造に向けたソリューション提案に取り組んでいく。