2023年2月20日

出光興産
国内初のサプライチェーン構築

東レとバイオマスABS樹脂で

出光興産(木藤俊一社長)と東レ(日覺昭廣社長)は、バイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(以下、バイオマスSM)の製造ならびにバイオマスSMを原料としたアクリロニトリルブタジエンスチレン(以下、バイオマスABS樹脂)を製造することに合意した。

SMメーカーである出光興産が、マスバランス方式でバイオマスSMの製造を行い、プラスチックメーカーである東レが、そのバイオマスSMを原料として、東レ千葉工場(千葉県市原市)においてバイオマスABS樹脂を製造する。製造開始は今年10月に予定されており、日本国内でのバイオマスABS樹脂製造は初めての事例となる。

近年、CO2排出量の増加による地球温暖化への対策は、喫緊の課題として大きく取り上げられている。両社はともに、2050年カーボンニュートラル社会の実現を目指した取り組みを推進することを重要な経営課題と認識しており、環境負荷の低いバイオマス原料の導入によるバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築に向けた検討を両社で進めてきた。

バイオマスナフサは、植物由来の原材料などから製造されているため、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を抑制することが可能。両社は今回の取り組みを通して、プラスチック産業のCO2排出削減を目指す。

出光興産は、産業や生活に不可欠なエネルギー・マテリアルを安定供給するとともに、長年、化石燃料を扱う中で培った技術・知見、インフラを活用し、50年までに自社操業に伴うCO2排出量のカーボンニュートラル(ネットゼロ)を目指している。また、カーボンニュートラル・循環型社会の実現を支えるエネルギー・マテリアルの提供を通じて顧客のCO2排出量削減にも貢献していく。

東レは、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション事業の拡大によるGHG排出量削減と、GHGの吸収に貢献する技術・製品の開発を進めることで、社会全体の50年カーボンニュートラル実現と同時に自社のカーボンニュートラル達成も目指している。

両社は強力なパートナーシップを通じたバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築によって、カーボンニュートラル・循環型社会へのマテリアルトランジションを目指す。