2023年2月25日

2022年12月期決算発表
横浜ゴム

売上収益、事業利益過去最高
市販用タイヤは販売伸長

横浜ゴム(山石昌孝社長)は2月17日、「決算説明会」を実施した。売上収益は前期比28・3%増の8604億7700万円、事業利益は同12・8%増の700億8900万円、営業利益は同17・7%減の688億5100万円、当期利益は同29・9%減の459億1800万円となった。「売上収益、事業利益は過去最高を達成しており、経営計画の定量目標を2期前倒しで到達した。営業利益においては、前期に本社ビル売却などといった特別利益が計上されており、実態とは差異がある」(同社)。事業利益における増減要因は、原料高騰による影響で344億円、物流費等の高騰で327億円、固定費増で49億円、製造原価増で41億円、その他要因で19億円のマイナス要因があったものの、価格/MIXで510億円、販売増で141億円、為替差益132億円、YOHT(Yokohama Off―Highway Tires)の増収74億円、マルチプル・ビジネス(MB)による2億円増益したことで、収益が大きく伸びた。YOHTの増益分の内訳は、為替差=ドルによる円換算で35億円のプラス、ユーロ他に対するドル換算で3億円のマイナス、原料価格アップで102億円のマイナス、販売量による変動なし、物流費等高騰で91億円のマイナス、製造原価増で13億円のマイナス、価格/MIXにより256億円のプラス、固定費増で7億円のマイナスとなっている。具体的な施策としては、原料、物流費高騰を機動的な価格政策でカバー、下期に入り、資源価格高騰やインフレにより欧州市場環境が急速に悪化し、販売に苦戦したものの収益性の高い製品、販路へ優先的に供給し、利益を確保。機動的な為替予約(EUR/USD)により為替差損抑制。為替円安もあり、事業利益は74億円の増益を確保した。

セグメント別の状況は、タイヤの売上収益は前期比30・6%増の7543億900万円、事業利益は同16・8%増の668億4300万円。新車用タイヤは、世界的な半導体不足による生産調整の影響や中国でのロックダウンの影響を受けたものの、自動車メーカーのばん回生産および北米での新規車種獲得などに加え、円安も寄与し、売上収益は前年を上回った。市販用タイヤは、日本では昨年年初の降雪により国内で冬用タイヤの販売が好調に推移、海外で高付加価値商品の拡販に努めた結果、北米や中国、アジア地域でも販売を伸ばした。YOHTは、北米など各販路でインドを生産拠点とするコスト優位性を生かした拡販や、値上げの浸透に努めた結果、売上収益、事業利益は過去最高となった。

MBの売上収益は同14・0%増の962億4800万円、事業利益は同4・9%増の39億6500万円。ホース配管事業は、北米で自動車の生産が回復したほか、国内では建機向けを中心とした油圧ホース販売が底堅く推移し、売上収益は前年同期を上回った。工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が前年を大きく上回り、航空部品も民間航空機向けの補用品需要が回復したことにより、売上収益は前年同期を上回った。

今期については、第1四半期は市場環境悪化が継続すると見られるものの下半期からの回復を見込み、売上収益を前期比4・6%増の9000億円、事業利益を同4・2%増の730億円、営業利益を同6・0%増の730億円、当期利益を同0・2%増の460億円を見込んでいる。