カーボンブラック協会
2023年カーボンブラック需要見通し
総需要は前年比3・4%増見込む
2023年カーボンブラック需要見通し
カーボンブラック協会(長坂一会長)は2月10日、2023年のカーボンブラック需要見通しを発表した。
ここ数年は、社会情勢を鑑みてオンラインによる発表を行っていたが、新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向が続いていることから、今年の発表は3年ぶりに対面形式で開催された。
今年の景況としては、内閣府の1月の月例報告によれば「世界経済の減速は見込まれるが、政府主導による〝物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策〟の効果の発現が本格化。人と成長分野などへの投資が促進されることで実質1・5%程度、名目成長率については2・1%ほどの民需主導の成長を予測」としている。一方で23年の世界経済成長率の見通しとしては「世界銀行が前年予測の3・0%から1・7%と1・3㌽下方修正。またインフレの進行、金利上昇、ウクライナ問題の長期化に加えて長引く新型コロナウイルス感染症の動向も予断を許さない」と、カーボンブラック業界および需要先業界を取り巻く状況などにも触れながら説明を行った。
需要予測の前提ベースとしては、今年の自動車生産台数は前年比6・7%増の850万7000台と予測されており、日本自動車タイヤ協会では今年のタイヤ国内需要は同2・5%増と予想。また日本ゴム工業会は、新ゴム消費量についてゴム産業全体では同3・8%の129万8700㌧、このうち自動車タイヤ・チューブは同3・1%増の104万960㌧、一般ゴムで同6・8%増の25万7740㌧といずれも増加と予測されており、そのほか輸出入状況も織り込まれ、こうしたデータから予測された数値となっている。
23年のカーボンブラック総需要(輸出入込み)は前年比3・4%増の72万7250㌧と予測。新型コロナウイルス感染者数の減少傾向が続いていることや、消費者の購買意欲の回復および企業の設備投資意欲の向上、また輸出の増加など経済活性化の動きが、徐々にではあるものの見られつつあることが加味された。しかしながら「ウクライナ問題の動向、いまだ収束したとは言えない新型コロナウイルスの感染状況、原材料高騰などの予断を許さない要因もなお存在している」(同協会)。
カーボンブラック需要見通しの内訳としては、ゴム用は前年比3・8%増の64万1750㌧、このうちタイヤが同2・9%増の47万8840㌧、一般ゴムが同6・8%増の14万6910㌧、非ゴム用は同0・6%増の4万4500㌧で、内需の合計は同3・6%増の67万250㌧と予測。また輸出については同1・1%増の5万7000㌧、このうちゴム用は同5・6%増の1万6000㌧と予測した。
一方、輸入動向に関しては同3・4%増の13万8500㌧と予測。このうちゴム用は同3・7%増の12万5000㌧、非ゴム用は同1%増の1万3500㌧となっている。