バンドー化学
新中長計「Creating New Value for the Future」策定
長期ビジョン実現へ
2023年から第1ステージ始動
バンドー化学(植野富夫社長)は、2050年を見据えた長期ビジョン「ビジョン 2050」(人と社会を支え、今と未来をつなぐ BEST PARTNER)を定め、その実現に向け、23~30年度までの8カ年の新中長期経営計画「Creating New Value for the Future」を策定し、5月15日に発表した。同社ではこれからも人の暮らしや地球環境にやさしい社会課題を解決する製品やサービスを持続的に提供し、人や社会にとってなくてはならないベストパートナーであり続ける。投資計画としては、4年間累計における設備投資額240億円を計画しており、M&Aなど、成長に向けた戦略的投資の実施も視野に入れている。資金配分の株主還元における基本方針の変更として、従来の40%から50%へと引き上げ、自己株式の取得の機動的な実施も検討する。
23~26年度までを、新中長期経営計画であるCreating New Value for the Futureの第1ステージ(CV―1)として設定。CV―1の財務目標としては、26年度の売上収益1200億円(22年度は1036億円)、コア営業利益120億円(同67億円)、ROE12・0%(同7・6%)と定めた。CV―1では、3つの指針の下、財務目標の達成を目指していく。
CV―1の指針1である価値創造に向けては、〝共創〟を軸に新規事業の進化とコア事業の深化を加速し、事業ポートフォリオの最適化を図る。コア事業においては、資源配分の適正化による規模の維持・拡大を目指し、再構築事業として、北米事業や製品の統廃合に取り組む。新規事業(成長領域)として電子資材事業、医療機器・ヘルスケア機器事業に焦点を定め、育成領域として放射冷却材、超撥水材などといった環境・エネルギー領域を視野に置く。事業別の施策としては、自動車部品事業においては、電動化/環境規制対応製品の拡充、グローバルアフターマーケットへの深化、パーソナルモビリティ市場への深化を目指す。主な取り組み内容としてEPS、PSDなどといった電動化対応製品、高付加価値製品(補機駆動用途)の採用拡大を目指し、重点地域における製品ラインアップの拡充、新規代理店の開拓、電動二輪車用製品の開発・拡販に取り組み、多用途四輪車市場への拡販を果たす。産業資材事業では、大型農機市場、軽搬送ベルト成長市場への拡販を図るとともにシンクロベルト成長市場への深化を推進する。主な取り組み内容としては海外補修市場、OEM市場採用における拡大路線を推進。物流や食品加工などの重点市場における販売拡大、ロボットなどの重点市場への深耕・拡販を目指す。高機能エラストマー製品事業においては、光学用透明粘着剤(OCA)「Free Crystal」の拡販に加え、環境負荷・意匠性に優れる加飾フイルムの拡販、シンクロベルト成長市場への深化を施策として実施。主な取り組み内容としては車載用途、産業用途での採用拡大、建装加飾フイルムの新規顧客獲得、四輪内装加飾フイルムの採用拡大、OEM・補修市場の開発・拡販を行う。新規事業への取り組みとしては電子資材事業の事業化、医療機器・ヘルスケア機器市場への連続的な上市を推進。主な取り組み内容としては、「TOPX」のディスプレイ用途における採用拡大を推し進め、半導体市場などへの熱マネジメント製品の拡販を図る。事業探索・開発スピードの加速に向けては、成長領域へリソースを集中、M&Aやオープンイノベーションを積極的に活用する。
指針2のスマートものづくり創造においては、圧倒的競争優位の品質と生産性を創造し、地球環境と人にやさしいワクワク感あふれるものづくりを実現、安全・安心で地球環境にやさしいものづくりを行う〝バンドー夢工場〟構想実現への布石を打つ。ビジョンとしては、バンドー夢工場のグローバル展開を図り、圧倒的競争優位性を獲得する。重点方針である安全・安心で地球環境にやさしいものづくりに向けては、環境対応製品の開発、新製法・材料加工技術の開発などによる環境負荷物質の排出削減を図り、再生可能エネルギーへの置換を目指す。スマート製法の開発においては、「匠の技×デジタル技術」によって人のスキルに頼らない工程づくりとして自働化・無人化・自律化を推進。デジタル人財の育成にも励む。高い品質と稼ぐ力の創出では、現場力の強化による生産性の改善、不良・ロス率の低減に加え、安定的でコスト競争力を備えた世界最適生産、材料調達、最適物流の構築に取り組む。事業ポートフォリオの転換に沿ったコア製品・材料品種の統廃合にも着手する。
指針3では、未来に向けた組織能力の進化を図る。社会・競争環境の変化にしなやかに対応し、未来に向けて組織能力の継続的な進化を図る。グローバルな組織・ガバナンスの再構築に向けては、重点課題の解決にリソースを集中し、目標期限までにやり切る体制を構築、販売拡大と仕事の効率化に向けたIT投資に注力するとともに、海外事業の経営管理体制の強化と効率化を果たす。従業員エンゲージメントの向上への取り組みでは、個人の働きがいと組織の生産性向上を両立できる〝働きがい改革〟を実施、〝バンドーグループ健康宣言〟の実現に向け、健康経営を促進する。気候変動リスクに向き合い、社会の発展に寄与する目的から、30年度のCO2排出量38%削減目標(13年度比)を達成させ、サステナビリティ委員会を通じた、ガバナンスの実効性確保および経済的、社会的な貢献度の向上を果たす。