ミシュラン
新世代の航空機用タイヤ
仏で世界初公開
ミシュラン(フロラン・メネゴーCEO)は、軽量で長寿命の新世代の航空機用タイヤ「MICHELIN Air X SKY LIGHT(ミシュラン エアーエックス スカイライト)」を、6月19~25日に開催された第54回パリ国際航空ショーで、世界初公開した。
MICHELIN Air X SKY LIGHTは安全性を損なうことなく、よりサステナブルで優れた性能を発揮する。従来品と比較して10~20%の軽量化と、15~20%のタイヤ寿命延長を実現したことで装着してから摩耗し、取り外されるまでの離着陸回数が増え、メンテナンスコストとタイヤ輸送コストの削減につながる。
重量は航空機にとって非常に大きな制約であり、すべての部品において重要視される。将来運航予定の航空機だけでなく、現在生産されている航空機に装着した場合でも軽量化により、大幅に使用燃料とCO2排出量が削減される。エアバスA320やボーイング737などのナローボディ機では、メインギアで75㌔㌘の軽量が可能。エアバスA350やボーイング777などのワイドボディ機では、メインギアで最大250㌔㌘の軽量が可能となる。
長距離航空機40機に換算すると、タイヤの軽量化だけで年間90万米㌦のジェット燃料を節約でき、CO2排出量を3400㍍㌧削減できる。中距離航空機100機の場合、ジェット燃料の節約量は年間60万米㌦で、2200㍍㌧のCO2が削減できる。
MICHELIN Air X SKY LIGHTの設計は、タイヤのライフサイクルアセスメントからスタート。環境の観点では、重量が最も影響を与えるパラメータであり、燃料はタイヤの使用段階で消費される。タイヤを高地で運べば多くの燃料を使用する。着陸装置としてのタイヤの重量は約50~2000㌔㌘となるため、軽量化は大きな課題。
MICHELIN Air X SKY LIGHTは構造、材料、製造工程などの複数のイノベーションにより誕生した。最適化されたトレッド構造とトレッド接地面により、旧世代の同等品と比較して寿命が15~20%延長する。また、超耐性ケーシング材料と最新世代のハイブリッドケーブルおよびファブリックが使用されている。「2050年までにタイヤを100%持続可能にする」というミシュラングループの目標に沿い、従来品以上にサステナブル素材の含有を増やしている。航空機タイヤの製造ラインがあるブールジュのミシュラン工場内では、革新的な製造工程が開発された。
ダッソー社の長距離ビジネスジェット機ファルコン10X次期モデルに装備するために開発されたMICHELIN Air X SKY LIGHTは、ダッソー社のスケジュールに則り、今後数カ月内にテスト飛行が予定されている。加えて民間航空市場を対象としており、タイヤサイズは航空会社と航空機メーカーの優先順位により決定される。新規開発は極めて厳しい型式認証および取得ルールの対象となるため2~3年を要する。
ミシュランは航空業界に50年以上の実績を有しており、ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ、インナーチューブを、民間および地域の航空会社、一般航空、軍事航空など、世界中の顧客に供給を行っている。このほか、世界大手の建設会社や企業(エアバス、ボーイング、ボンバルディア、コマック、ダッソー、エンブラエル、ガルフストリーム、ホンダジェット、ロッキードマーティン、ピラタス、テキストロンなど)とパートナーシップを構築している。