長瀬産業
使用済みTMAH廃液の回収・再生を事業化
再利用の取り組みは国内初
東大阪に新工場設立
長瀬産業(上島宏之社長)は、同社のグループ企業・ナガセケムテックス(本社・大阪市西区、藤井悟社長)および半導体用高純度ケミカルの製造を行っているSachem(本社・米国テキサス州、ローズマリー・ホフマンPresident/CEO)は、半導体製造に使用される高純度現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド・通称TMAH)の回収・再生事業を展開する。同事業は、3社の合弁会社で現像液の再生事業を手掛けているSN Tech Corporation(以下、SN Tech)が電解・精製技術を導入し、新工場を東大阪に設立する計画。半導体分野において、使用済みTMAH廃液を回収・再生し、再びTMAHとして再利用する取り組みは国内初。SN Techでは、現像液の廃液を原料として回収するプラントであるGreen Mobius Systemの製造・販売も半導体工場向けに実施していく。
半導体チップの製造工程はシリコンウェハに回路を形成する前工程と、回路が形成されたシリコンウェハを半導体チップとして組み立てる後工程に分割。前工程ではフォトリソグラフィ工程を繰り返すことによってシリコンウェハ上に回路を形成する。フォトリソグラフィ工程では、回路形成時に半導体用高純度現像液(TMAH)が必要となるが、TMAHの再生には高度な電解・精製技術が必要とされることから回収・再生による再利用は困難とされ、半導体製造事業においては、環境負荷や収益面における課題となっていた。
SN Techでは、液晶パネルの製造で使用される現像液の回収・再生事業に2008年から着手。同事業ではこれまで培ってきた技術力とノウハウを生かし、より高度な電解・精製技術を必要とするTMAHの再利用と、そのモデルケースの確立に取り組む。同事業を通じた半導体製造工場のTMAHや水の再利用と安定調達、エネルギー削減により、コスト競争の激化が続く半導体事業における収益性改善と、世界中の企業が対応を迫られている持続可能な環境配慮ビジネスモデルでの実現が期待される。
今後の展開としては、日本国内において年間1万㌧の高純度現像液を製造する計画を立てている。今回のビジネスモデルをモデルケースとし、国内のみならず海外に向けての展開も視野に入れ、半導体関連事業の拡大を目指していく。