2024年2月10日

エボニック
米国で50%増強

湿式シリカの製造能力

エボニック インダストリーズ(クリスチャン・クルマン会長、以下、エボニック)は、米国チャールストンの湿式シリカ製造工場の拡張を行うことを発表した。サウスカロライナ州の新ライン建設に投資することによって、特に北米におけるタイヤ業界のシリカに対する高い需要にこたえる。これにより、シリカの現地調達が可能となり、同地域におけるエボニックパートナーのサプライチェーンの強化を図る。

シリカは低燃費タイヤにおける重要な原料として、従来の乗用車用タイヤと比較して最大8%燃費を低減する。北米では転がり抵抗を減らし、低燃費を可能にするタイヤへの需要が高まりを見せている。また、シリカは歯磨き粉、コーティング剤といった製品の重要な原料でもあることから、エボニックグループは数十億円規模の資金を投じ、製造ラインを新設する。チャールストンの新ライン建設により、エボニックは同工場での湿式シリカの製造能力を50%増強する。着工は2024年半ば、操業開始は26年初頭に予定されている。

エボニックの最高財務責任者(CFO)兼北米責任者を務めるマイケ・シュー氏は「北米は当社にとって重要な成長戦略地域。チャールストン拠点に投資し、戦略的に顧客中心のアプローチを強化し、コスト改善およびサステナビリティの向上を図る」と説明。

チャールストン拠点の製造能力を拡大することにより、タイヤ業界の地域間サプライチェーンに対するニーズを満たすことができるだけでなく、湿式シリカ「ULTRASIL」の製造に循環型原料を導入し、タイヤ業界のサステナビリティ目標の達成をサポートする。

過去数年間、エボニックは最新のシリカ製造設備への投資と、さらなる事業の強化のために世界規模で戦略的買収を継続的に行ってきた。チャールストンの工場は、現在世界18カ所に所在する湿式シリカの製造拠点ネットワークの一部として稼働している。