テクロック
海外未開拓市場へ販路拡大
補助金の採択を受けて新硬度計開発
テクロック(本社・長野県岡谷市、原田健太郎社長)は、海外未開拓市場への販路拡大に向けて4月から新たな硬度計の開発に着手し、販売への取り組みを行うことを決定した。
同社は1950年の創業以来、さまざまな精密測定機器の製造・販売を続けており、寸法測定、硬さ測定、荷重測定など、あらゆる測定に対応した測定機器を取りそろえている。特に、測長機であるダイヤルゲージの技術を応用して65年に誕生した硬さ測定器は世界マーケットシェアナンバーワンを誇る。最大の特長は、多種多様な測定物に対応した世界で最も幅広いラインアップ(アナログ、デジタルを合わせて計約70種類)で、ゴム硬さ規格の大幅な改訂にも対応している。
同社の硬度計は海外市場においてもトップシェアを維持している状況であるが、海外未開拓市場への販路拡大と普及を目的として今回、中小企業庁が実施する第8回「事業再構築補助金」申請を行い、採択された。今回の採択を受けて開発された新しい硬度計を軸に、製造工場など、モノづくり現場の増加などから需要が見込まれるインド・タイ・中国といったアジアの成長国での新市場開拓を目指す。
新硬度計の機能については、従来の硬度計は測定指示値0~100の中で精度保証範囲が20~80までであったが、今回の新硬度計では精度保証範囲が5~95と大幅に拡張される。これまでは、精度保証範囲外の測定値が出た場合は硬度計の硬さのタイプを変更して再測定する必要があった。しかし、新硬度計では一つのタイプで精度保証可能な測定範囲が広がり、柔らかいものも硬いものも広範囲に測定ができることで、汎用性が格段に高まる。一つのタイプの測定許容範囲が拡張されれば、複数のタイプの硬度計は不要となり、硬度計を入れ替える手間も減り、作業の効率性アップにも貢献する。
また、従来の硬度計の標準機であるタイプAは、タイヤなどの一般ゴムの硬度を測定する用途で用いられているが、今回、測定範囲が広がることによって硬度の下側、つまりより軟質な素材の硬度測定が可能になる。今までは測定できなかった食品や布類などの測定物に対応ができるようになり、これまでのゴムやプラスチック以外の新しい産業への硬度計の導入が今後大きく期待できると言える。
なお、対象の新製品は本年夏に日本および海外に向けて発売を予定している。